鉢植え栽培
(1)株の様子
(2)新芽
(3)つぼみ
このページでは鉢植えレモンの開花から結実までの様子、苗から結実までの様子、病害虫、その他主な管理等を取り上げています。
基礎データ
- 概要:写真は挿し木10年以上の鉢植えレモン。品種は「リスボン」。
- 鉢:27~30.5cmポリポット植え。
- 高さ:150~200cm。(鉢の高さを含む)
- 用土:鹿沼土(挿し木のときに鹿沼土を使用したため、鹿沼土主体で育てている。)と無肥培土(他には、赤玉土の小粒等)を等量混合し、それに完熟堆肥を1~2割程度混ぜたもの。鹿沼土と堆肥の組み合わせでは乾きが早いので小粒の用土を混合している。他には赤玉土を主体にしても良い。
- その他:大小合わせて17株栽培中。
※このホームページで「レモン」とは、特に記載の無い場合は「リスボン種」の事を指します。
<概要>以前輸入レモンは、防腐剤や乾燥防止のワックスが付いているからレモンティーや総菜に付いていても「皮は食べない。」と敬遠されていたのが懐かしい。いや、今でもそうかもしれない。また国産は輸入より安全ではありますが高値で取引されているようです。それに多く栽培されてはいない。
しかし、独特の香りや酸味で料理や飲料、成分としてはビタミンCやクエン酸による疲労回復等活躍の場は多い。
そんなレモンを自分自身で手軽に栽培し利用出来るならそれに超したことはありません。ただし、レモンは分類上熱帯果樹であるため寒冷地で上手に栽培が出来るのでしょうか。また品質はどうなのでしょうか。結果は如何に・・・
・最初にレモンの苗木を購入したのは10年以上前だったと思います。それは接ぎ木1年苗で当時、1,700円位でした。栽培を始めて3年位経った頃花が咲き始めたように覚えています。その後、木も大きくなり混み合った枝を剪定した時に、捨ててしまうのはもったいないと、挿し木をしたのが始まりです。
春に挿し木をすれば秋までには根が出て鉢上げし、その後4年位で花を付けたように思います。挿し木で問題無く増やせることや枝が年3回伸びること他いろいろ分かってきた頃、あろう事か最初の親木を枯らしてしまいました。今振り返ればあのとき増やしておいて良かったとしみじみ思います。
一つ分かったことは、枯らした接ぎ木苗より、挿し木苗の方がよく育ったと言うことです。理由は分かりません。
基本管理他:一目で分かる栽培管理カレンダー参照。
- 生育状況:春から冬までに3回芽が伸びる。それぞれ春枝、夏枝、秋枝と呼ぶ。花は四季咲き性だが日本では春(5月頃)の開花が最も多い。夏枝や秋枝伸長時にも開花、結実するが春ほど多くはない。温帯である日本では冬季は生育休止期となるため、三期成りが実際のところ。詳しくは、「花の付き方と受粉について」参照。
- 収穫期:年中。多くの果樹は熟すと木から落ちてしまったり、腐ったりするが、レモンはその様なことが少なく木に付けておいて必要なときに取ることが出来るので都合が良い。また、木の本数が多ければ常に果実が付いていることになるので、買う必要がなくなる。青い果実は香り、酸味が強く、黄色い果実はマイルドになる。何れも好みで収穫すればよい。収穫量について詳しくは、「レモン、収穫量について」参照。たくさん収穫できたときは、「レモン、取れすぎて困ったら・・・」参照。(準備中)
- 置き場:日当たりの良い場所。しかし、多少日照条件が悪くても問題無く育ち結実する。(我が家の条件が該当する。)他の果樹とは異なり、完全な陽樹ではないのかもしれない。一般的には夏場は屋外雨よけ栽培で冬場は室内。上の株は年中ハウス内。
- 気温:夏場は自然条件。冬場は最低マイナス2~3℃まで。ただし直接霜や雪に当てない方が良い。
- 水やり:年間を通して土の表面が白く乾いたら、鉢土全体が湿る様に与える。夏場は2日に1回。冬場は1~2週間に1回。春と秋はその中間くらい。まだ鉢土表面が乾いていないのに与えてしまうと根腐れを起こすことがある。木の大きさに比べて鉢が大きすぎる場合でも同じ事を起こしやすい。詳しくは「レモン、水やりの目安」参照。
- 肥料:夏場の生育期間中に3回市販の有機質固形肥料を与えれば良い。芽が伸び始めた時が適期。上の株には醗酵鶏糞を与えている。量は27cmポットで1回当たり軽く1握り位。肥効を確認し、不足している場合(葉の色が薄い場合)は追加して液体肥料の500~1,000倍液を生育期間中に1~3回与えている。
- 殖やす:挿し木。詳しくは「レモンの挿し木」参照。挿してから小苗になるまでを掲載しています。その他、接ぎ木、実生等。
- 病害虫:アゲハ、ハダニ、各種蛾の幼虫等。詳しくは、「レモンの病害虫」参照。実際に発生したもののみ掲載しています。よって、地域によっては、他の病害虫が発生することもあります。
- 市販苗の販売形態:根巻き接ぎ木1年苗、ポット養成接ぎ木苗、鉢植え養成実付き株等。
- その他作業:摘果、植え替え、枯れた枝、混み合った枝の剪定。詳しくは「レモンの剪定」参照。その他雑草取り等。
2005年4月、開花~結実
(1)花の様子
(2)開花直後
(3)初期の実
(4)大きくなった実
解説:新芽を伸ばし始めたり、つぼみが大きくなっています。
つぼみは前年伸びた枝の先端や先端近い葉の付け根から出て開花する。
開花が始まりました。とても良い香りが漂っています。小さな虫が来ているようです。開花中は結実を確実にするため、土を極端に乾かさない方が良い。
レモンの花は二種類あり、ずい柱が長く伸びている花しか結実しません。(矢印が長いずい柱)
(2)写真の散った花は結実しますが、開花中の(1)花は結実しません。
栽培場所はビニールハウス内ですが、特に人工交配は行っておりません。開花しても結実しない場合は、まだ株がその状態ではないと考えます。
(4)この実は昨年夏から秋に開花結実したもので、現在の様子。肥大を始めてすぐにおなじみのレモン形になる。
多くの熱帯果樹は、開花期が秋以降の場合、果実が小さくなったり、不完全になりがちだが、レモンの場合、越冬した幼果実が春以降大きくなり、まともな果実が収穫出来るところがすばらしい。
2005年5月末
(1)株の様子
(2)花後の様子
(1)春枝は大体伸びきり、葉も展開し硬化してきた。
(2)花のピークは過ぎ、果実の肥大が始まった。果実肥大期も土を極端に乾かさない様に注意する。
今年は花の時期にやや高温で推移したため、花数の割に結実が少なかった。ちょっと日焼けしたかもしれない。
これらの株はハウス内に置いてあったためその様な傾向になった。屋外では問題無い。 この頃からアゲハが飛んできて卵を産み付けていく。
※詳細は上記害虫→詳しく見るへ
2005年7月
(1)2005年6月上旬
(2)2005年6月下旬
株によって枝の伸びが異なるため、実の大きさも差がある。
(1)昨年開花結実した実のその後
(2)肥大をを始めた実
枝の状態は、春枝は硬化している。早い株は夏枝が伸び始めている。それと同時にまたつぼみが膨らんでいる株もある。結実した果実は少しずつ大きくなっている。
今月の管理
- 摘果:葉の枚数を数えて実の数を制限する。
- 水やり:極端に乾かさないように水やりを行う。
- 肥料:枝の伸びている株は施肥。
- 病害虫:今年は、アゲハがあまり飛来しなくて助かっています。いつもの年なら目を付けられると頻繁に卵を産み付けられるのに、今年は今のところ何もしなくても葉が虫食いにならずにいます。
今年は、早く開花した花はうまく受精しなかったが、後のものは結実してほっとしています。
2005年8月
(1)肥大している果実
(2)(1)左果実、大きさの比較
(3)結実初期
元は同じ木から育てたものですが、育ち具合はばらばらでご覧のようにある程度果実が大きいもの、まだ小さいもの等いろいろあります。
株の状態は夏枝の伸びているもの、つぼみを付けているもの、動きのないもの等いろいろです。この春結実した実は日ごと肥大しています。(1)(2)
遅くに開花したものはまだ大豆大です。(3)
今月の管理
- 摘果:葉の枚数を数えて実の数を制限する。温州ミカンと同じで、一つの果実を実らせるには、葉が35~40枚程度かと思います。(我が家は日照条件が悪いため。)実際には特に葉の枚数を数えてはいませんが、一枝に2果以上付いた場合は、摘果することもあるが、一鉢の木全体を見て結実数が少ない場合は残すこともある。
- 水やり:極端に乾かさないように水やりを行う。梅雨明け以降良く乾く。果実肥大期に水分が少ないと大きな実になりにくい。また、乾かすことにより、葉が落ちてしまったり、ハダニを繁殖させてしまうこともあり、要注意。
- 肥料:枝の伸びている株は施肥。
- 当地方アゲハの発生期になったようです。詳細は上記害虫→詳しく見るへ
2005年9月
(1)色づき始めた果実
(2)肥大中の果実
(3)木の様子
(4)アゲハの幼虫
今年は私がまじめに管理しているため木の状態は良い。
(1)は昨年開花結実した実の今の様子。収穫しても良い。
(2)は先月大きさを比較した果実の今の様子。少し肥大したため、枝が垂れてきた。枝の状態は、春枝は硬化している。早い株は夏枝が伸び始めている。それと同時にまたつぼみが膨らんでいる株もある。結実した果実は少しずつ大きくなっている。
今年は、早く開花した花はうまく受精しなかったが、後のものは結実してほっとしています。今、木は芽の動きはありません。開花もありません。この秋にもう一度芽が伸び(秋枝)今年の成育を終えます。(3)
先月は摘果を行いました。一枝に二果以上付いているものは一つにしました。(4)は初期の幼虫
今月の管理>
- 施肥:枝の伸びを見て、伸び始めたら与える。
- 水やり:晴天であれば毎日一回は与える。極端に乾かしてしまうと果実の肥大が悪くなってしまったり、ハダニを繁殖させてしまう。
- 病害虫:当地方は引き続きアゲハの発生期です。詳細は上記害虫→詳しく見るへ
2005年10月
(1)木の様子
(2)更に肥大した果実
(3)花と結実初期
(4)秋芽
(1)だいぶ果実が肥大したため、これ位離れていても実の様子が分かる様になりました。(2)はその果実。
(3)だいぶ気温が下がってきましたが、今開花している株もあります。先月の色づいた果実も昨年の今頃開花したものです。レモンは四季咲きなので特別なことではありません。
(4)今多くの株で秋芽が伸びているところです。当地方では、寒さが本格的になる頃までに葉が展開します。
今月の管理
- 置き場書:出来るだけ日光に当てたい。
- 肥料:与えない。
- 水やり:鉢土の表面が乾いたら与える。
- 病害虫:当地方は引き続きアゲハの発生期です。今成育中のものがさなぎで越冬します。
※アゲハを育てるのではなく、駆除します。
2005年11月
(1)木の様子
(2)更に肥大した果実
(3)先月の(3)のその後
(4)完全に色づいた果実
(5)秋芽
(1)先月よりも更に果実が肥大したため、枝が垂れています。(2)はその果実。葉で隠れていたところは黄色い。
(3)先月と同じ枝の現在の様子です。数個結実が見られますが、最も大きいものを残して他は摘み取ります。
(4)今まで度々取り上げて参りました果実の現在の様子です。今まではうっすらと色づいた程度でしたが、今はレモンイエロー・・・と言うよりは黄色になりました。
(5)現在伸張中の枝もあります。また、つぼみを付けている株もあります。
今月の管理
- 置き場所:日は短くなったが、出来るだけ日光に当てたい。気温は-2~3℃で越冬するが、例え気温はプラスでも直接霜、雪、冷たい北風等には当てない方が良い。寒冷地ではそろそろ取り込んだ方が良い。
- 肥料:与えない。
- 水やりは鉢土の表面が乾いたら与える。あまり乾かしすぎると落葉したり、果実の肥大が悪くなる。
2005年12月
(1)結実した木の様子
(2)他の木の様子
(3)収穫した実
(4)内部の様子
冬の管理
(1)は今年の春開花結実した木の様子。(3)は左手前が市販のレモン他は収穫した果実。(4)左側は市販のレモン。右側が自家採取のレモン。大きい!!
寒さが厳しさを増してきたため、加温ハウス内へ移動しました。このハウスは日照条件が悪いため、冬期間はただ「生きてるだけ」になってしまいます。日照条件が悪いのに果実を付けていても枯れたり、樹勢が衰えないところがすばらしい。(1)この木はちょっと実を成らせすぎです。(2)まだ芽が伸張中の木もあります。
(3)色づいた果実は収穫しました。写真左手前だけが市販のレモンで他の4つは我が家で収穫したものです。ちなみに市販のレモンは重さが、200gで、写真右手前の大きなものは、270gです。
(4)形は良いとして中身が気になるところですが、ご覧の通り、充実しています。問題の食味はと言うと、よく熱帯果樹を涼しいところで育てると、見かけは良いが、甘さが足りないとか、酸味が多い等聞かれますが、酸味が売りのレモンの場合全然問題ありません。と言うより、極端に酸味が強いと言うことはありません。
市販のレモンとの違いは、非常にみずみずしく、香り高く、それに安全安心です。
今後は果皮を薄くするのが目標です。
今月の管理
- 置き場所:出来るだけ日光に当てたい。冬期間は日照不足ぎみでも大きな問題は無い。その他、凍らせない。
- 肥料:与えない。
- 水やりは鉢土の表面が完全に乾いてから与えます。あまり乾かしすぎると落葉したり、ハダニの発生原因になる。ただし、ある程度土を乾燥させることが来春花芽を付ける事に繋がるので、常に湿っているほど与えない方が良い。その辺のさじ加減は慣れないと難しい。
2006年1月
(1)株の様子
(2)(1)の実の様子
(3)他の実の様子
(4)芽の様子
(5)初期の実
12月に入って厳しい冷え込みになり、暖房機の稼働時間が長くなりました。設定温度は0℃です。暖房機の設定が0℃と言うことは、ハウス内温度は氷点下になることもあります。それは、暖房機は設定温度より2~3℃下がってから動き出すためです。
それでもこの品種は低温に耐えるため、全然問題ありません。
春に開花結実した実が色づき始めました。夏場の水やり不足かあまり大きくなりませんでした。(1)(2)(3)
秋に開花したものは小さな果実を確認することが出来ます。(5)また、芽を伸ばしている株もあります。(4)
今月の管理
- 置き場所:出来るだけ日光に当てたい。冬期間は日照不足ぎみでも大きな問題は無い。その他、凍らせない。
- 肥料:与えない。
- 水やり:土の表面が乾いてから鉢土全体が湿る様に与える。
※管理は2月も同様です。
2006年3月
(1)株の様子
(2)(1)の実の様子
(3)果実内部
今月は昨春開花結実した果実を収穫しました。やや小振りですが、中はみずみずしい。(3)大きさの割には果皮が厚い。しかし、香りが高くそれなりに楽しめます。
私自身、レモン(果実)やレモンの木が特別好きというわけではありませんが、相性が良いのか永く付き合っていけそうです。あまり手がかからず、比較的丈夫で果実も楽しめる木と言うことです。
今月の管理
- 置き場所:出来るだけ日光に当てたい。
- 肥料:まだ与えないが新芽が動き出したら与える。
- 水やり:土の表面が乾いたら鉢土全体が湿る様に与える。
※当地方では、3月までが冬の管理になります。
2013年2月 皮を薄くする栽培の結果報告。
(1)外見
(2)内部の様子
レモン栽培を始めて最初の頃は物珍しさもあって、大きな果実を収穫出来ることに喜びを感じていましたが、それにしても皮が厚すぎると言う問題を抱えていました。
ある日馴染みの園芸店員からもそのことを指摘されて、同時にヒントももらいました。
半信半疑でしたが、今までの管理を見直して、ある作戦を実行しました。それは肥料の変更です。
2012年春から実行してその後、皮が薄くなるのは新たに実った果実からと考え、しばらく様子を見ていましたが、この冬に収穫したものは以前のものより半分以下の厚さにまで薄くすることに成功した。上写真(2)の通りです。2006年3月の写真と比べると良く分かります。
皮の厚さはこれで3~4mmです。
実はこれでもまだ厚い方で、もっと白い部分の少ない果実も収穫出来ています。それは大体温州みかんと同じくらいです。このことから、果皮の厚さは品種の特性によるものよりも、栽培方法による影響の方が大きいです。
※今後、薄い果実が収穫できたらまた掲載します。