極楽鳥花植物園 Strelitzia Botanical Garden

ストレリチアの紹介 このページではストレリチアの輪郭を記載してあります。

ストレリチア

📷 一般的な花

ストレリチアは、一般的な花のイメージから大きく外れた、非常に変わった植物である。

多くの方にとって「花」と言えば、茎の中心からつぼみが上がり、やがて放射状に花びらが開く、いわゆる丸い花──キク、バラ、カーネーションなどが馴染み深いだろう。冠婚葬祭の盛り花でも、花束やブーケでも同様である。 そのような花に慣れた目で初めてストレリチアの花を見たとき、

「こんな花があったのか!」

と誰もが驚き、心を掻き立てられる。非常に強い印象を与える花と言える。

まるで鳥が羽ばたくようなその姿は、南国のジャングルを彷彿とさせ、自分でも育ててみたいと思わせる魅力に溢れています。 がっしりとした株立ちと、くちばしのような仏炎苞から次々と現れる鮮やかな花びら。 その造形美は、自然が生み出した芸術品そのものと言えるでしょう。

しかし実際には、一般の花屋や園芸店でストレリチアの苗や株を目にする機会はほとんど無い。本屋にも育て方の本は無く、園芸雑誌にも載っていない。情報が極端に少ないため、興味を持っても“思いだけで終わってしまう”ことが多い。 それでも世の中には、こうした植物に惹かれ、趣味の範囲にとどまらず、気が付けば30年以上ストレリチアに携わっている“物好き”がいる。植物の世界では、その種類だけ専門家がいると言っても過言ではないが、ストレリチアも例外ではない。 ここでは、私が実際に長年向き合ってきた経験をもとに、ストレリチアとはどのような植物なのかを紹介する。 ※器官の名称や個体差などは、「形態」を参照。

ストレリチア

📷 南アフリカにて、路地植えの黄花レギネー種

【主役になる花である】

一般的には主役と脇役を組み合わせますが、ストレリチアは別格です。 太く長い花茎、鮮やかなオレンジの花。「花が主で葉が脇、それ以外は邪魔」と言い切れるほどの強烈な個性を持ちます。

熱帯植物のイメージを覆す「抜群の強健さ」

温度
機密性の高い住宅なら余裕

管理
水・肥料も「適当」で良い

病害虫
ほとんど心配なし

「ストレリチアを育てられない人は、他のどの植物も育てられない」
30年携わったからこそ言える、この植物の真実です。

冬の間は室内へ、霜の心配がなくなれば外へ。無霜地域なら地植えも可能です。 水やりから解放された地植え株は、伸び伸びと育ち、見る者を圧倒する草姿を見せてくれます。

【ハイブリッドな魅力】
洋花でありながら和室にも馴染み、花のない時期でも「一級の観葉植物」として君臨する。鉢花と観葉植物、両方の顔を持つことが最大の魅力です。

※詳細な栽培管理は、「育て方」参照。

ストレリチア

📷 南アフリカ フラーズベイにて南アフリカにて

南アフリカ原産「ストレリチア科」常緑多年生植物

かつてはバショウ科とされていましたが、現代の植物学では独立した一つの「科」として確立されています。

◆ 分類学上の位置づけ

【旧分類:1900年代~】
バショウ科(Musaceae)の一属として扱われていた時代。

【新分類:1940年代~現在】
ストレリチア科(Strelitziaceae)として独立。
単子葉植物「ショウガ目(Scitamineae)」の最も根元的な科であると考えられています。

◆ 科に含まれる構成
最新の分類によれば、ストレリチア科には以下の種が含まれます。

  • 無茎種: 2種(レギネー等)
  • 有茎種: 3種(ニコライ等)

ストレリチアの栽培と研究 鈴木勇太郎 1,977 8頁 より引用。

※詳細は、「種類」参照。自生地の様子は同ページ「自生分布」参照。

👑 Royal History

学名のストレリチア(Strelitzia)は、英国のジョージ三世の皇后、マクレンバーグ・ストレリッツ家出身のチャーロット・ソフィア女王に由来します。

時は大航海時代の1,773年。初めて南アフリカから英国に紹介された際、その花のあまりの美しさと珍しさに国中がわき返り、時の皇后の名を冠して命名されました。

英名 和名 中国名
Bird of Paradise Flower
(天国の鳥)
極楽鳥花
(その直訳)
鶴望蘭
(鶴のような蘭)

ニューギニアに生息している極楽鳥に似ているからという説もありますが、真相はよく分かっていません。他には鶴に似ているところから「クレイン・フラワー」(Crane Flower)とも呼ばれます。

🏯 日本への渡来:明治5年
田中芳男氏が上野博物館で培養されていたものを小石川植物園へ寄贈したのが始まりとされています。

📖 極楽鳥花の世界 鈴木勇太郎 1,982 4頁 より引用。
ストレリチア

📷 パービフォリア?ジャンセア?

未だ、一般的な植物ではない。

切り花としては葬儀やホテルの装飾で年中見かけますが、「鉢植えとして自分で育てる」文化は、まだ十分に根付いているとは言えません。

◆ よくある誤解と現実

  • 熱帯専用?: いえ、暖地以外でも栽培可能です。
  • 安価な株: 花立ちの少ない在来系が多いのが現状。
  • 入手経路: 街の花屋では良質な「株」に出会えません。

◆ 品種改良の難しさ

  • 長い年月: 種まきから開花まで4年もかかる。
  • 選抜の壁: 自生個体は元々それほど花立ちが良くない。
  • 先行する切り花: 鉢植えより農家の切り花で優良種が普及。
これが現実:海外通販の失敗談

希少種(ジャンセア等)を期待して海外から種子を取り寄せ、育てて2~3年で「違う!」と確信、開花して確信が「落胆」に変わる。 100%別種が届くことも珍しくありません。
「ストレリチア以外の変な植物が出てこなくて良かった」と言わざるを得ないほど、流通の信頼性は未だ不安定なのが実態です。

※花立ち、花、草姿等の詳細は「形態」→「レギネー分類」、優良系統の詳細は、「品種」参照。

ストレリチア

📷 優良系統苗

「苗を多数購入して選抜する」か「選抜された開花株を買う」か。

「育て方が悪いのではなく、株自体が良くなかった」という事実に気づかないまま、栽培を諦めてしまう人が後を絶ちません。

■ 失敗しない購入先選定のポイント

  • 定義: 優良株の定義が明確に示されているか?
  • 根拠: 優良系統である合理的な根拠(親株の写真等)があるか?
  • 実績: その系統からどのような花が咲くか結果が示されているか?
  • 知見: 販売者がストレリチアを深く理解しているか?
※「…でしょう」「…と思われる」を多用する説明文は要注意。確信を持った知見があるかを見極めてください。
苗から育てる:確率の壁を越える

実生(タネから)の場合、優良系統でも個体差が出ます。 確実に良い株を残すなら、ある程度の数(理想は100株以上)を育てて選抜するのが王道です。

選抜の目安(初代オレンジプリンス例):
・優良株の割合:1/50程度
・特別優良株:1/500程度

とにかく「安さ」だけを求めるのは、結果的に「銭失い」になりやすいのがこの世界です。

開花株を買う:冬の「花芽」が嘘をつかない

最も確実なのは、選抜済みの開花株を選ぶことです。

【開花株購入のヒント】
冬に開花サイズで売られている場合、花立ちの良い株なら必ず複数の花芽が付いています。 1本だけ、あるいは付いていない場合は……ご想像の通りです。

「ストレリチアは全て同じではない」ことを肝に銘じなければならない。

※詳細は「育て方」→「優良系統開花傾向」「品種」参照。

ストレリチア

📷 選抜株

高いものもあるが、良く考えると決して高いことは無い。

「高値」の裏側にある数年越しのプロセスと、一生続く鑑賞価値を知れば、その見え方は一変します。

■ なぜ高額になるのか:4年以上の膨大なコスト

土地代 + ハウス代 + 苗代 +
(固定資産税 + 肥料 + 水 + 電気 + 暖房燃料)× 4年分
+ ハウス修繕費 + 膨大な選抜労力 = 高額

数百株の中から「親株候補」として残るのは、わずか一株。それ以外をすべて処分してでも「品質」を追求した結果が、その価格に反映されています。

■ 「一生モノ」と考える計算式

適正な環境下では、ストレリチアが「寿命で枯れた」という話は聞きません。

初期投資額 ÷ 予想栽培年数(数十年) = 他の植物より圧倒的に安い

一度手に入れれば、半永久的に楽しめる「宿根草」の真価。優良系統の苗は、決して高い買い物ではありません。

【注意】 ネット通販では、本来淘汰されるべき「咲かない株」を高値で売っているケースもあります。 生産背景が見えない場所での購入は、初心者には非常にリスクが高いのが現状です。

※写真は優良系統選抜株。自家生産ではない場所では、仕入れ値に利益が乗るため、質の伴わないものが高値になる傾向があります。

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