ここでは主な管理を取り上げています。
解説:(1)~(3)この頃は生育が緩慢な時期。「ミニ観葉」と言ったところ。(4)~(10)、以降スイッチが入ったかの如く次々に大きな葉が出る様になる。尚、下葉の黄変は多肥の影響と思われますが、大きな問題では無い。
(11)これで成株です。緊縮的管理だった影響で、葉焼けや葉巻は印象が悪いが、この程度であれば生死に関わる問題ではない。その証拠に後にこの株が開花する。
(12)株元が茎ではなく、幹っぽくなってきた。(ニコライは樹木では無いため、幹と表現するのは不適切だが、便宜的に使用している。正確にはココヤシの株元の様な状態を指している。)本当は草丈を大きくしないでこの様に育てなければならない。
ポイント・・・大きくならないように育てる。
一見矛盾している様に思えますが、巨大化させないと言うことです。ニコライは無茎種とは異なり草勢が強く、条件が揃っているとあっという間に大きく育ってしまいます。
例えば苗を購入して、良かれと思って水や肥料を真面目に与える。すると、大きな葉を次々と展開する。それに気を良くして更に肥料や水を十分与えてしまう。その結果冬季室内に取り込めないほどに大きく育っていたことに気が付く。この様にしてはならないと言うことです。
みずみずしいきれいな緑色の葉がのびのび育っている状態は、実は悪循環である事が多い。
草丈はほどほどに抑えて、株は成熟させることに重点を置いて育てなければならない。そのためには・・・
です。
特に(2)が重要です。夏場は葉焼けするかしないぎりぎり位が目安です。また、中苗以降、雨には当てない様にして、水分は完全に人の手でコントロールした方が良い。
※鉢の大きさは何れも内径を示す。
ここでは実生後、初めて花芽を付けてから開花までの様子を取り上げています。
解説:(1)(2)11月に入ってから花芽が伸び始めた。位置は最も新しい葉から数えて5枚目の付け根です。芽の大きさはこの時点ではまだ小さい。この花芽は株の中央近くから出ている。脇芽は株元から出るので見分けが付きやすい。(3)(4)は12月末の状態。
(5)(6)年を越して1月になると1段目の花芽先端部から2段目が伸び始めた。この段階でもまだ細い。写真では分からないが、先端部には小さな葉身を付けている。(7)(8)2月末になると花芽の2段目がほぼ出た状態。
(9)(10)3月末になると花芽の3段目が伸び始めた。この頃から大きな芽になってきた。
(11)(12)5月になると仏炎苞が幾つも出てきた。今年はこの時期から気温が真夏並みに上がったので動きが速い。
(13)~(16)5月中旬から開花し始めた。仏炎苞は全部で3段出たものの実際に咲いたのは2段目まででした。色は黒に近い紫色で表面に薄く白い粉を吹く。ちなみに1段目の仏炎苞は大きく、長さは37cmもあり、迫力満点!!
花弁は水色。萼は白色だが付け根付近は薄く紅が差すこともある。気温が高いと、次々と咲進む。仏炎苞は巨大だが、花弁や萼の大きさや形はレギネー種と大きく変わらない。
※この株は大きく育て過ぎた失敗作です。早く咲かせようとして大きくしてしまいました。成功作は次に掲載してあります。
ここではを小型化に成功した別株を取り上げています。
解説:(1)~(2)この株は上の株とは別ですが、同時期に花を咲かせ、その後鞘が膨らんできたものです。この鞘は2段目の仏炎苞のものなので、元の形(1段目の仏炎苞等が)が良く分からなくなっている。
この鞘の大きさはレギネー種の良く熟したものよりも大きくなっているが、今後発芽能力を持った種子が収穫できるかは、現時点では分からない。
(3)種子を付けている側の反対、下から2枚目の葉の基部からは次の花芽が伸び始めている。先端部に小さな葉を付けている。
今、この大きさなら8月中に伸び始めたことになる。
もし、ニコライでもレギネー種と同じ様に花立ちに顕著な差があるのなら育種対象としておもしろい。
(4)先月より葉数が増えてバランスが良くなっています。8月に伸び始めた花芽は残暑が続いた影響で急速に大きくなっています。花芽はこれだけかと思いきや、(3)の花芽の出ている葉より上側の葉の付け根には次の花芽が伸び始めた。もし、これが順調に伸びて開花すれば年に数回花が咲くことになる。
(6)5月の開花後、膨らんできたさく果は10月にはすっかり茶色に変色した。先端部を開かずに枯れたことから、種子は難しいかと思わせたが、ストレリチアとしては少数ながら良さそうな種子を得ることが出来た。(7)
写真の様にニコライの種子は無茎種とほとんど見分けが付かない。それでもあえて違いを挙げるとすれば、径がやや大きいことと、オレンジ色の毛がやや多いか・・・。
(8)~(9)気温の低下で草姿はほとんど変化ありませんが、花芽の方は開花間近です。この状態なら今後1週間以内に咲くかどうか。尚、この大きさなら仏炎苞は3段は出そうです。
花芽はこれ一つだけではなく、次の花芽が出てきています。花芽が二つ出ているのは、先に紹介した大きく育て過ぎた株でも同様です。
開花が連続していないのは、鉢植え栽培の影響で仏炎苞が3段止まりだったことが大きい。もし、地植えの放任栽培ならば5段咲きになって、花の無い時期は短かったと容易に想像できます。
※紹介した株は、2015年12月現在「小型状態」を維持しています。株の左右にあるのは「黄花中間種開花株」です。それと比べてみれば大きさが良く分かります。