ここではレギネー種、ニコライ種、及びジャンセア種の被害を取り上げています。
解説:(1)はレギネー開花株の被害状況。新しい葉の葉柄下部が被害箇所。茶褐色の小斑点は肥料過多や生理傷害ではなく、葉柄内部を食い荒らしたので組織の一部が枯れて斑点状に変色したもの。
(2)はレギネー花茎の被害状況。穴の周囲に食べかすが付いている。
(3)はニコライ中苗の被害状況。
(4)はジャンセア開花株の被害状況。(矢印)
(5)はレギネー種仏炎苞の被害状況。
毎年秋になると見られる害虫の一つ。花茎や茎に穴を開けて内部を食害する。(1)新芽の場合はその後強風や水が掛かった時に折れてしまう事が多い。
(2)花茎の場合は、咲かないで終わってしまう事が多い。(3)のニコライは幸いな事に悪影響は出ていない。
(4)ジャンセアの葉は株元で折れてしまった。
(5)は開花前に食害を受けたため、これで正常な開花は見込めない。切り花では商品価値は無い。
以上の様にある程度大きな株、又は堅い茎を狙われやすい。小苗の被害は見た事が無い。
数多く栽培していて毎年被害を受けているなら、薬剤散布を考えるが、趣味の少数栽培でたまに被害を受ける程度であれば、対処が難しい。薬剤散布を行えば安心である事は確か。
※種類は問わず、硬い組織に発生しやすい。
ここではレギネー種開花予定株の被害の詳細を取り上げています。
解説:(1)(2)この株は橙色レギネー開花見込み株です。この株を見せて診断をお願いしたらどの様な所見になるでしょう。
(a)新芽が枯れているから生理傷害。
(b)新芽が枯れているから芯腐れ。
(c)茎(葉柄)が赤っぽく変色しているから茎腐れ。
目の付け所としては間違っていませんが、何れも正解ではありません。それは(3)で確認出来ますが、葉柄に二箇所小さな穴が空いています。これがシンクイムシが空けた穴です。
ここから侵入したシンクイムシは新芽の基部を食害します。(5)それで葉柄のまだ柔らかい箇所を食べてしまったので、水分を吸い上げる事が出来無くなって、新芽の外に出ていた箇所は乾いて枯れて、内部の水分の多いところは腐ったと言う事です。
葉柄が赤っぽく変色したのはその腐った影響です。
(4)この枯れた新芽は簡単に引き抜くことが出来、芽先を元の位置に置いてみると、穴の位置と食害箇所が一致する事が確認出来る。
今後は成長点までやられていなければ、やがて新芽が伸び始める。もし、動きがなければ枯死を心配します。何れも次の成長期にははっきりする。
※これで枯れる事はまずありません。