ストレリチアの実生
1,準備
種子の処理
(1)種子は自家採取以外は、市販の種子を購入する。海外通販で扱っている所を良く見かける。
写真の種子はレギネー黄色、及び橙色、ジャンセア、ニコライ等。数はそれぞれ100粒用意した。どの種類もほとんど同じ形状、色。よって種子の段階で混ざってしまうと区別が出来無い。
(2)種子に付いているオレンジ色の毛は、「仮種皮」と呼ばれている。これは付いていても、発芽に関係無いので取り除く。
この仮種皮には油分、その他が含まれている。夏場外に捨てておくと、蟻が運んでいく。この事はストレリチアの生息範囲拡大の謎を解く鍵になるかもしれない。
(3)ストレリチアの種子は成熟してからしばらくの間休眠状態にあると考えられ、それを覚醒するためにエスレル溶液で処理する。濃度は1000ppm~2000ppm。
写真は市販のエスレル溶液と水。
(4)それぞれエスレル水溶液に浸す。この時浮いた種子は発芽しないので取り除く。
48時間浸けておく。
※交配方法は「形態」ページに掲載してあります。
2,播種
48時間経ったところで、鉢と土を用意する。
(1)写真は12㎝ポリポットに鹿沼土(単用)を入れたところ。用土は清潔で水はけ、水持ちの良いものを使用する。鉢はそれ以外に、プラ鉢、素焼き鉢、駄温鉢、育苗箱等。
鉢の大きさは、それでどの程度の期間育てるかで決めれば良い。今回はせいぜい長くて半年、それに、発芽率から播いた種子数の半分しか苗を得られないので、小さいポットを用いた。
(2)エスレル水溶液から種子を引き上げ、それぞれ蒔く。種子同士が重ならないように大体横一列になる様に播けば良い。
ラベルを忘れずに付ける。
(3)種子が完全に隠れる位、覆土する。この時、ウォータースペースは細かく考えなくて良い。
(4)最後に鉢土全体が湿る様に水を与える。以降、表土が乾いてきたら水を与える。
発芽には地温25℃が必要なので、何らかの手段で加保温する。
(5)写真は、電熱線をサーモスタットに接続して温度管理をしている。周囲にトンネル支柱を立てて、上に保温のためポリエチレンのシートで覆っている。これをトンネルと呼ぶ。このトンネルはビニールハウス内に設置していて、このハウス内の温度管理も行っている。
昼間は高温になるため、ポリは開放にして換気する。夜間冷え込む場合は再びポリで覆って、その上から保温資材を掛けている。
発芽は早くて2週間後、多くが出揃うまでには大体2ヶ月、遅いものは次の年になる。
多くが発芽するまでは、上記管理を継続する。
3,経過
発芽から小苗まで
(1)早いものが発芽を始めた。最初は白っぽい色をしている。
(2)発芽が多くなってきたが種子を播いてからの反応が良くない事が分かる。この種子は古いものだった又は、品質が悪い事が推測される。通販購入種子の場合、この様な事は珍しく無い。
(3)この頃は上に伸びている。
(4)先に発芽したものは徐々に葉が開き始める。
(5)ストレリチアは単子葉植物である。最初の葉は双葉ではなく筒状に伸びてくる。
(6)葉が開いてストレリチアらしくなってきた。
(7)葉が開いたことでたくさん芽が出ている様に見えるが、まだ発芽初期のものもある。
(8)根が伸びる力で、種子が土の表面に顔を出してしまう事がある。このような時は根が乾かない様に増し土をした方が良い。
(9)混み合っているため、葉柄が間延び気味になるが、問題無い。
(10)早い苗は2枚目の葉が展開している。
(11)どの種類も同じように見えるが、ニコライはやや葉が大きく柔らかい感じ。ジャンセアはやや葉が小さい。
(12)鉢一杯に育った感がある。最初の鉢上げの目安は、葉の枚数が多くの株で2~3枚になった頃。
4,鉢上げ
(1)鉢から抜いてみると、根が回っている。一般的な植物と異なり、最初からある程度太い根が伸びている。
(2)ばらしてみると、生育差がある。また、ニコライより根が太い。
(3)なるべく大きさを揃えて植えておく。最後に鉢土全体が湿る様に水を与えて終了。
(4)レギネー橙色苗(5)ジャンセア苗、(6)ニコライ苗も同様に鉢上げした。
※この後の管理は、「苗から育てるストレリチア」参照。
鉢上げの様子は、動画でご覧頂けます。「ストレリチア1年生苗の鉢上げ」(YouTube)