苗から育てるレモン4年目 2011年5月1日~
鉢植え栽培
このページではレモンの挿し木から4年目の様子を取り上げています。
解説:2008年に挿し木で増やした苗の4年目。
一般的には挿し木から3年育てればこれらの3倍くらい大きく育つものですが、我が家では日照条件が悪いので小さい。春先は寒い日が続いたが、4月から新芽が伸び始めている。
(3)中には初めてつぼみを付けた株もある。木が小さいので結実する花かどうか現時点では分かりません。
今まで振り返ってみて、木が小さい割によくつぼみを付けたものだと思います。接ぎ木苗を育てたとしても花を付けるには2~3年掛かりますから驚かされます。
実際に結実するかどうかは花が咲いてみなければはっきりとしません。もし、この春結実しなくても夏以降期待が高まります。
2011年6月1日、開花
解説:(1)早い株では春枝がほぼ伸び終えて、葉もほぼ展開しました。
(2)はこの春初めて花を付けた株のその後です。中央の花は残念ながらずい柱が短く結果しません。
(3)他にもつぼみが残っていますが、印象としては結実しそうもありません。
今月はレモンの木に花を付ける条件について振り返ってみます。
まず、苗の形態として、接ぎ木苗でなければ良く育たないとか、結実しないと言うことはありません。
次に木の大きさについてはそれほど関係無い。それはこの木はまだ50cm程度にしか育っていないからである。挿し木後1~2年の小さな苗では話にならないが、今回ある程度育っていれば花を付ける事が確認出来た。しかし、50cmと言ったら、市販の接ぎ木苗より小さいかもしれない。
この苗は4年目として取り上げていますが、挿し木の年を1年目としているので、苗からであれば3年目となります。この年数ならば接ぎ木苗を育てても変わらない。
次に日照条件についてもそれほど関係無い。それはこの苗木は日の出から日の入りまで日光を浴びていたわけではないからである。周囲に建物や、大きな木があり、1日の中で日陰になる時間が結構ある。それでも花を付けている。日照条件の良い場所へ置いた苗は大きく育っているが、花は一つも付けていない木を見たことがある。
肥料についてもそれほど関係無い。それは肥料切れにならない程度にしか与えていなかったからである。
それでは何が一番重要かと言えば、水やりです。具体的なことは「レモン、水やりの目安」で取り上げています。端的には水やりで樹勢をコントロールすると言うことなんですが、これがなかなか初心者の方には難しい事なんですよね~。
2011年6月17日、花後
解説:(1)これらの苗は屋外に置いていて自然の雨に当たっています。それで肥効が高まり大きな葉を展開しています。
(2)この苗は今年初めて花を付けたものです。春枝はほぼ伸びきっていて、今は葉が固まりつつあります。(3)は最も高く伸びている枝先の花後の様子です。一見結実しそうに見えますが、これは結実しないものです。
(4)は(3)の少し下に出ていた結果枝の様子です。(5)は更に下の結果枝。(6)は(2)の左側に出ている短い枝先の様子です。
(4)~(6)は何れもずい柱が長いことから、結実する可能性が高いものです。そして早いものは果実が肥大を始めています。当初は多くても1つずい柱が長い花があるかどうかと見ていましたが、3つも付いたとは予想外のことです。
気になることは花柄がやや細いことです。ここが丈夫でなければ、少し果実が肥大したところで落果と言うことも考えられます。もう少し大きくなってくれば収穫できるかどうかがはっきりします。
尚、これらの花には人工交配は行っていません。その他管理面では1回の施肥と、水やりだけです。薬剤散布は行っていません。
2011年7月1日、結実?
解説:(1)各苗共に葉はほぼ展開し終えています。手前中央の株が花を付けたものです。
(2)は上部に近い位置に結実したもの。最も上部に付けた花は残念ながら落果しました。
良く見てみると果柄がしっかりしているのでこのまま行くかもしれません。
(3)こちらは株元に近い位置の枝先です。一応小果が残っていますが、果柄が弱々しいので落果するかもしれません。
どちらにしても1果でも収穫まで行ったなら大したものです。これから夏枝が伸びてくれば葉数も増えるので期待は高まります。
2011年8月1日、結実!!
解説:(1)(3)今、夏枝が伸び始めたところです。全体的に今のところ順調です。このタイミングで施肥を考えます。
これまでにアゲハが卵を産み付けにやってきて実際に生み付けられましたが、早期発見で孵化前後に駆除済みです。
(2)花を咲かせていた頃は、それで終わるだろうと考えていましたが、このレモンの木は本気でした。最も長く伸びた枝先に一つ結実し肥大しています。大きさはウズラの卵を一回り大きくした位です。その他の枝については、開花後しばらくして落果しました。
さすがにこの木の大きさで複数結実とは負担が大きすぎると自ら判断した様に思えます。当初結果枝(果柄)が細く貧弱に見えていたのですが、結実してからしっかりとしてきたのである程度の大きさの果実は収穫できる見込みです。
このタイミングでは収穫は早くても年明けです。当方は日照条件が悪いため遅れます。
2011年9月1日、肥大中!
解説:(1)(2)先月1回発酵鶏糞を与えました。それで枝の伸びが良くなり、葉色も濃くなっています。(3)色が濃くなるのは葉だけではなく、肥大中の果実同様です。大きさは鶏卵のM玉くらいになっています。
先月からの1ヶ月間も不安定な天気で午後はにわか雨が多かったのですが、逆に肥料の分解と吸収が促進されたようです。だいぶ大きく育っています。
新芽が伸びると待ってましたとばかりにアゲハ類が飛来し、卵を生み付けていきます。この1ヶ月間もクロアゲハや並アゲハを多いときは毎日見かけました。水やり等の管理時に見かけると言うことは、一日観察していればかなりの頻度でやってきているのだと推察します。
その生み付けられた卵は孵化前に落としてしまえば被害にはなりません。他の生き物の栄養源になっていると考えます。幼虫に関しても同様です。レモンの木から少し離れた場所へ落としておけば、元の木へ戻ってよじ登るところは見たことがありません。一つ気を付けたいことは、幼虫のおしりと枝葉が糸でつながっていることがあり、中途半端に払いのけた程度では、元に戻ってしまうことがあることです。
現在夏の盛りを過ぎた様な天気で、また台風が近づいてきていますが、今後どうなるでしょうか・・・。
2011年10月1日、引き続き肥大中!
解説:(1)今年はアゲハ類による卵の生み付けが多く全てを落としきれなかったようで、いくらか食害を受けています。逆に少ないと感じる害虫はハモグリバエです。この大きさの苗木には一つも害を受けていません。年によって付く害虫が違うようです。
(2)果実の方は先月よりいくらか大きくなったかと言ったところです。日照時間が少なくなったことから、今年はこれ以上大きくなることは難しいかもしれません。
一つ感心していることは、これだけ果実が大きくなっても枝が垂れ下がっていないと言うことです。
鉢を持ってもぐらぐらしないほど茎が丈夫です。
春の時点では一つの果実を大きくさせるのに必要な葉数に達していなかったものの、夏枝まで伸びて十分な葉数に達しました。これで来春日が延びてきた頃再び果実の肥大が始まるか、年を越した頃黄色く熟すかのどちらかになると見ています。
2011年11月1日、秋は深まって・・・
解説:親株は現在秋枝が伸長中ですが、苗は停滞中です。と言うより今年はアゲハの幼虫による食害が続いていて、幾つも大きく育った幼虫を駆除しました。気温が下がってきた割に活動は活発です。
(2)の結果株もだいぶやられました。見つけにくい所に潜んでいたようです。肝心の果実の方は、日が傾いて日照時間が少なくなってきた影響で肥大は止まっています。先月と変わったことは、少し色が薄くなってきています。
これで黄変するか、このまま越冬するかは現時点でははっきりしません。今後はもう少し日当たりの良い場所へ移動させて様子を見る予定です。
春より根が回って土が乾きやすくなっています。しかし、日照時間が減ったため乾きにくい条件になり、総合的には水やりの手間から解放されました。
2011年12月1日、冬になって・・・
解説:(1)日が傾いたことで日照時間が少なくなっています。また、氷点下の冷え込みが多くなってきたので、ハウスへ取り込んであります。
11月以降、屋外で霜や氷点下1℃台の気温に遭っていますが、葉や果実に影響は出ていません。その後-3℃以下になりそうだったので、加温ハウスへ取り込んだ次第です。
(2)(3)果実はだいぶ色づいてきています。先端部にやや緑色が残っていますが、この時点で収穫しても問題ありません。肥大は止まっていますが、大きさは市販のアメリカ産と同じ位かそれ以上になっています。
木の大きさはおよそ50cmです。(鉢の高さは含みません。)株元から枝が2本伸びていて、葉の数は大小合わせて40枚位です。この大きさでは恐らく市販の接ぎ木苗より小さいでしょう。幹も細いです。
ここで改めて実を付けるこつをご紹介します。色々考えてみましたが、稲作の格言で良いものがありました。それは、・・・
「上手な百姓は米を作って、下手な百姓は藁を作る。」です。
これはたくさん米を取ろうとして、多くの肥料を与えてしまうと茎が長く伸びすぎて、倒伏してかえって収量が少なくなってしまうことを現しています。レモンはこれと同じ考え方になります。
もっと短い言葉で表すならば、「レモンはそんなに甘くない。」 ・ ・ ・ 「!!」です。