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極楽鳥花植物園 Strelitzia Botanical Garden

ストレリチアの株分け このページではストレリチア・レギネー種の株分けを記載してあります。

ストレリチアの株分け

1,株分けを行う株

(1)株分け予定株

写真はゴールドクレストです。

この鉢へ植えてから数年経ち、芽数は全部で4条立ち(4芽)に増えた。現在一部の芽で分けつしているため、今後更に大株になろうとしている。

ストレリチアの株分けは、基本的に今回の様に最低4条立ち以上にならなければ行わない。その理由は一株当たり最低2条以上にしたいからである。条数が少ないと、その後の生育が緩慢になったり、開花するまで時間が掛かることがあるからである。

その他、根が回った事でウォータースペースが少なくなったり、水を与えてもすぐに染み込まなくなった時も、植え替え、株分けの判断材料になる。

※株分けの様子は動画でもご覧頂けます。「ストレリチアの株分け」「ストレリチアの株分けその2」(各YouTube)へ。

2,株分けを行う条件

鉢底から出た根

ストレリチアの栽培を始めて数年経つと、鉢が変形を始める。その後徐々に形が歪になり、例えば晩秋になって室内に取り込む際、鉢が割れていることに気が付く事がある。それが植え替え、株分けのきっかけとなる。この鉢はまだ割れておらず今後数年は栽培する事が出来るが、今回説明のために株分けを行った。

鉢が割れるきっかけは他にもあり、例えば春に屋外へ出した時、鉢を直接地面に置くと間もなく根が鉢底から地中に伸び始め、室内に取り込む頃には動かせなくなるほど張ってしまうことがある。草勢が強い場合、鉢底が割れて鉢としての機能が薄れてくる。よって、夏場の屋外栽培時、出来るだけ地面との接触は避けた方が良い。

3,鉢を切る

鋸で切る

以下、手順。

鉢が変形するほど根が回った場合、株を傷付けずに抜くのは困難になる。よって、この様な場合は鉢を犠牲にする。他の植物の様に株を手で持って、鉢の縁をとんとんたたいても手が痛くなるだけ。乱暴に抜こうとすると意外に簡単に株を傷めてしまう事も珍しく無い。

写真は、鋸で縦に切っている。このとき出来るだけ鉢のみを切るように注意する。ただ、多少根が切れてしまっても問題にはならない。

もし、鉢が割れているならば、そこから切れめを広げていけば良い。

4,切ったところ

切れた鉢

片側を下まで切ったところ。根が回っているため、自然に切り口が開いてしまう。この状態で抜けなければ、反対側も同様に切る。これで株を傷めない様に抜くことが出来る。

決して、鉢をもう一度使おうなどと考えてはならぬ。

5,抜いた株と鉢

鉢と株

ご覧の様に白くて太い根が回っている。根は鉢の下半分に集中している。よって、ストレリチア栽培では高さのある長鉢(懸崖鉢等)が適する。

6,分けた株

ハーフハーフ

上記の通り二つに分けた。手順は株元(地上部から地際にかけて)をまず半分に切り、その後、根鉢を大体半分になる様に切った。刃物は鉢を切った時と同じ鋸です。ストレリチアは他の植物の様に根をほぐして土を落とすことは困難。

不用意に根をほぐすことは、良い根まで傷めてしまう事になる。そこで根鉢を半分に切ることで、大体半分位は健全な根が残ると考える。

※使う刃物は鋸鎌もお勧め。詳しくは、「園芸用品」参照。切り口に雑菌剤等は塗らなくても問題無い。

7,分けた株と鉢

株と鉢

それまで植わっていた鉢は長鉢の10号で、新たに植える鉢は、ポリポットの30cmを使用しています。一旦鉢へ収めてみて植え深さを確認する。

写真の場合、茎と根の境目を基準にしてみて高すぎる(浅植えになってしまう)ので、根鉢の下側をを切り詰める。

もし、長鉢等に植える場合で、茎と根の境目が土で1~2cm隠れ、ウォータースペースを十分取れる場合は、切り詰めなくても良い。

8,根を切る

根鉢の調整

根鉢の下側を数cm切っているところ。この時も鋸を使っている。再び鉢へ入れて様子を見て、必要であれば高さ調整を行う。

9,根を切ったところ

切った根

高過ぎたので、再び根鉢を切り詰めている。

※写真では説明のために丁寧に行っているが、最初から根鉢の高さの半分程度切り落としても良い。

10,鉢に入れて様子を見る

高さ調整

この状態ではまだ根鉢全体が大き過ぎるので、もう少し根鉢を切り詰める。ポットが変形しているのはそのせい。

11,用土を入れる

植え付け後

鉢に余裕で収まる様に根鉢を整えて用土を入れたところ。根鉢は形を整えただけで、崩してはいない。開花株の場合はウォータースペースを取ることがポイント。あとは芽が大体上向きになるように据えて隙間に用土を入る感じで良い。

※用土は乾いた状態で良い。また、用土を棒で突く必要はありません。

12,完了

終わり

最後に鉢土全体が湿る様に水を与えて完了。この直後から元の栽培場所へ置いて問題無い。

13,参考、株分けから7ヶ月後

(1)草姿

(2)花芽の様子

今回の様な株分けを行うと、一時的に草勢が弱まる場合もあるが、その後回復し、生育期間中に葉を4枚程度伸ばし、当然花芽も伸ばしその後正常に開花する。

ただ、根を短く切り詰めた場合は、初年度は葉や花茎が短くなることがある。それでも2年目からは長く伸びる様になる。

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