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極楽鳥花植物園 Strelitzia Botanical Garden

ストレリチアの種類 このページでは原産地、南アフリカに自生する無茎種2種他と有茎種3種を取り上げています。

無茎種概要:無茎種とは成長点が常に地際にあり成長と共に株が水平方向に広がっていく。年数が経っても高さが変わらないもの。降水量が少なく、乾燥に耐えられる植物しか生きていけないような環境に自生している。レギネー種、ジャンセア種、中間種が該当する。

クウェレハ川のレギネー

レギネーとは王妃を意味する。

ストレリチア属の中で最もよく知られ、最も多く栽培されているのがレギネー種です。ストレリチア=レギネーと言われるほど代表的な種と言えます。

南アフリカ、東ケープ州南東部からナタール州にかけてのインド洋沿いに広く分布する。年間降水量約500mmの乾いた砂漠に近い環境。 日照条件は良いところが多い。常緑多年生植物。

生育期間中、株(芽)中央の葉元から、先の尖った芽(葉身を中央葉脈に巻き付かせた状態で)を出し、葉身が完全に外に出た頃、披針形の葉を展開する。葉は革質で厚い。葉身に続いて太く長い葉柄を伸ばす。葉は年に4~5枚展開する。株外側の古い葉は葉先から自然に枯れる。葉色は表が濃緑色、裏は白い粉を吹き灰緑色。まれに両面共濃緑色の個体もある。新しい葉の中央葉脈は紅色発色を見せる個体もあるが、時間の経過と共に退色する。

草丈は40cmの小型のものから3mに及ぶ高性ものまで幅がある。その他花立ち、葉の形等の個体差が大きい。自生地の環境によっても多少変わる。株がある程度育つと(初めて花を付けた頃、又はその後まもなく)成長点が分けつし芽数が増える。以降数年に1回分けつを繰り返す。年数の経ったものは数十条立ちの大きな株立ちになる。

花芽は6月頃から出始め、遅い株は翌年3月末頃出るものもある。(日本の本州、四国等の場合。)

開花期は、6月に出た花芽は夏から秋にかけて咲き始め、3月頃出た花芽は初夏開花と約10ヶ月間に及ぶ。夏は非常に少ない。また真冬は低温の影響で一時的に開花数が少なくなる。

花の色は萼(花びらのように見える部分)が橙色。まれに橙赤色、 黄花もある。(原種、交配種共)花冠(舌状の部分)が紫色。花首は無色(発色無し。)又は赤色、紅色等個体差がある。

仏炎苞(鳥のくちばし状の部分)は緑色。又は仏炎苞 上部から先端に掛けて赤色の個体も見られる。仏炎苞の長さは約15~25cm。充実した株の1番花(その年最初の花)は仏炎苞が2段に咲くこともある。1本の花(仏炎苞)から4輪から9輪位開花する。これは株の充実度合いにより変わる。開花中は萼や花弁の付け根から甘い蜜を分泌し、仏炎苞から滴り落ちることもある。開花初期は透明でさらさらしているが、時間の経過と共に水分が蒸発し、粘度が増し、色も黄ばんでくる。自生地ではこの蜜を求めサンバード(太陽鳥)がやってきて、花弁に留まる。すると足に花粉が付き、同じ様に他の花へ密を吸いながら移って行くことで、結果として受粉が行われると考えられている。

受粉後夏場で約5ヶ月、冬場は約7ヶ月で、橙色の毛の付いた長径5~7mmの艶のある黒色種子が実る。1花(1花茎)で150粒位の種子が得られる。適正管理下では実生から早くて3年、遅くても5年位で開花する。

根はやや透明感のある白色、直径1~3cmのゴボウ状で、株元から横方向に2~3m、下方向に1m程度伸長する。この太い根から更に細かい根が発生し水分や養分を吸収する。この太い根を張り巡らすことによって乾燥する気候でも耐えることが出来る。

※自生地の様子はこのページ下部「自生分布」参照。当サイトでは、reginaeをレギネーと呼んでいます。名前の由来は、「紹介」 参照。レギネー種について詳しくは「レギネー種在来系統の紹介」「品種」、又は「形態」→「レギネー分類」参照。

極楽鳥花の世界 鈴木勇太郎 1,982 16頁 より一部引用。

ブラックヒルのジャンセア

葉身の無いストレリチア

槍を何本も地面に突き刺したような姿で、初めて見たときは、世の中にこのような植物があったのかと驚くことでしょう。余分なものは何もない、非常にシャープな印象を受ける。一言で表現するならば、レギネーから葉身を取り除き、葉柄を長く伸ばした様な草姿。

南アフリカ、東ケープ州南部、ポートエリザベス北部の一部の地域に自生する。 年間降水量約400mmと、レギネー種の自生地よりさらに乾いた環境。より乾燥した条件に適応するため、葉を無くしたと考えられている。同じ場所にアロエや、ユーホルビア、団扇サボテン、サンスベリア等の乾燥に耐えるものが自生する。以前はパービフォリア(S.parvifolia)の中の一変種とされてきたが、現在はパービフォリアはレギネー種に包含され、改めてジャンセアは独立した種となった。上記種と同様に常緑多年生。

槍状の葉(注、正確には葉柄だが、便宜上葉と表現する。)を株の中心から伸ばし直立する。年に2.5~3枚(本)出る。1条当たり(1芽当たり)10本程度葉を付け、古い葉は先端部から徐々に枯れ込み後に葉柄全体が黄変し、枯れるサイクルを繰り返す。草丈は100~200cmで個体差がある。

葉身が全く無い(槍状の葉柄のみ)のものから、中間種の様に小さな葉を付けているものまで個体差がある。色は灰緑色。葉柄の断面は楕円形に近い。数年に1回分けつする。年数の経った株は分けつを繰り返し、数十条立ちの大株になる。花はレギネー種と同じだがやや小さいことが多く、花茎は短い。主に橙色花であるが、極稀に黄花がある。厳しい自然環境に自生することもあり、レギネー種より成長が遅く、花期も短く、花立ちも少ない。また交配の結果取れる種子の数も少ない。これは、光合成を葉柄のみで行っているので、でんぷんの合成が少ないためと考えられる。

花期は日本では1月から6月頃まで約6ヶ月。(亜熱帯地域を除く。)個体差により開花時期が異なる。ストレリチアの花を楽しみたいのであれば、花立ちが良い優良系統レギネー種の方が良いが、草姿、性質、花等いろいろな面で楽しみの多い植物である。

葉身が無いことで、寒さの影響を受けにくいことから、レギネー種より地植えに向く。レギネー種ほど変異の幅は広くはない。大体揃っていると言われている。しかし、細かく見れば花色(仏炎苞 の色)や花立ち、草丈等個体差は見られる。ジャンセアは、レギネー種から突然変異の結果生まれ、より乾燥する環境に適応したと言われている。これは”レギネー種から進化した”と言えることから、ジャンセアの存在は興味深い。葉身の全く無い個体が人気が高い。ノーリーフやノンリーフストレリチアといった呼び方は和製英語(俗称)で、海外では通用しない。ジャンセアは元々数が少なく、成長が遅いため、優良株を手に入れることは難しい。しかし、やはりレギネー種と同様に非常に優れた個体が存在する。

※当サイトでは、junceaをジャンセアと呼んでいます。自生地の様子はこのページ下部の「自生分布」へ。その他、個体差については、「ジャンセア原種の紹介」、又は「形態」→「ジャンセア分類」参照。

極楽鳥花の世界 鈴木勇太郎 1,982 40頁 より一部引用。

植えられた中間種

以前はパービフォリアという一つの原種と考えられていた。

ポートエリザベス大学のファン・ダ・フェンター教授(Prof.Van de Venter)の研究により人工交配の結果、同じ様な個体が出来たことで、自然交配種と判断された。上に述べた通り現在の分類では、レギネーに含まれ、ジャンセアは独立した種となった。南アフリカにわずかに自生する。

株の姿、生育の早さ等は両種の中間。よって、実生ではレギネー種より開花まで時間が掛かる。花はレギネー種とほぼ同じ。直立した細い葉柄の先に、スプーンのような小さな葉を付けている姿が印象的。

※写真は自生地近く、ユイテンハーグの道路分離帯に植栽されたもの。自生地の様子はこのページ下部の「自生分布」へ。(ジャンセアの自生地と同ページに取り上げてあります。)当サイトでは、parvifoliaの事を中間種と呼んでいます。中間種について詳しくは「品種」参照。

 
極楽鳥花の世界 鈴木勇太郎 1,982 39頁 より一部引用。

1,有茎種概要

有茎種とは文字通り成長と共に茎を形成し、ヤシの様に上に向かって成長していくもの。

これは、無茎種は乾燥地域に自生で競争相手が少ない。これに対して有茎種は比較的土壌水分が多い環境に自生していて、競争相手が多いことから、上に伸びていったと考えられます。ニコライ種、アルバ種、コウダータ種が該当する。

2,有茎種3種、形態の違い

  ニコライ アルバ コウダータ
高さ 約10m 約10m 6~10m
ステムの直径 10~15cm 8~12cm 10~15cm
葉の長さ 1.5~1.75m 1.5m 1.5~1.75m
葉幅 60㎝ 45~60cm 80~85cm
脇芽(サッカー) 多い やや少ない 多い
仏炎苞長さ 30cm 25~30cm 30cm
仏炎苞の色 暗い赤紫色、白い粉をふく 同左 同左
萼(セパル)色彩 白色、時には基部が藤色がかる 白色 白色、時には基部が藤色がかる
下萼片の形 突起無し 突起無し 細長い尾のような突起がある
花冠(ペタル)色彩 薄青色~藤色、稀に白色 白色 薄青色~藤色
花冠(ペタル)形 上から見てヤジリ型 小さな丸い耳型 ヤジリ型

※この表ではストレリチア有茎種の見分け方を紹介しています。ニコライを基準としたアルバの相違点は、花冠(ペタル)色彩と形。同じくコウダータの相違点は、下萼片の形と葉幅です。

Flowering Plants of Africa Vol.25 R.A. Dyer 1,946 の記述を基に鈴木勇太郎氏が作成したものです。

クウェレハ川のニコライ

この名はロシアのニコラス皇帝に因んで名付けられた。

1858年、ロシアのペテルスブルクにあるインペリアル・ガーデンの温室で開花して異彩を放ったとのこと。

南アフリカ、東ケープ州からナタール州にかけてのインド洋沿いに幅広く分布する。亜熱帯から熱帯性気候で比較的土壌水分の多い海岸地帯の自生が多い。成株は高さ:10m程になり、椰子に似た茎(幹)の上に緑色の幅:60cm、長さ:160cm前後の大きな葉を多数展開する。葉は裂けやすく、数回強風が吹けば櫛状になってしまう。

株元からは多くの脇芽が出て、同様に育ち一株でも賑やかになる。株がある程度大きくなると、新芽から数えて5~8枚目の葉の付け根から、太くて短い花芽を伸ばし、後に大きな花を咲かせる。1段目の仏炎苞は長さは35cm以上あり見るものを圧倒する。通常3段~、多くて5段咲きとなる。2段目以降の仏炎苞は徐々に小さくなる。仏炎苞の色は黒紫色で表面に白い粉を吹く。萼は白色、花冠は薄い青色。花冠の付け根からは多くの密を分泌する。尚、花に香りはない。

日本での開花は冬から春にかけてが多く、仏炎苞が幾段も出ることから開花期は長くなり、その後約半年咲き続ける。1つの花(1花茎)が長期間咲き続けるので、大株で株数が多くなれば年中花を見ることが出来る。開花中に受粉すれば後に種子が結実する。その種子は、無茎種のものと大きさ、色、形等ほとんど同じ。よってニコライ種の種子と無茎種の種子が混ざっていた場合、区別が付かない。草姿や花は大きく異なるものの、種子はほとんど同じと言う点は興味深い。

熱帯情緒あふれる姿から、我が国の植物園でもよく見かける。また、ホテルのロビー、レストラン、デパート等でも鉢植えニコライを飾っているところは多い。ただ名前は ”オーガスタ” 又はオオギバショウモドキ”と記してあることがほとんどである。それはストレリチア研究の遅れから、我が国では大きなストレリチアは皆‘’オーガスタ‘’と呼ばれているが、‘’アルバ‘’や‘’コウダータ‘’の栽培数は非常に少ないことから、そのほとんどは‘’ニコライ‘’と見て間違いない。比較的出回っているので、入手は容易。価格はそれほど高くない。

※写真は南アフリカ、クウェレハ川のもの。 自生地の様子はこのページ下部の「自生分布」へ。 主な管理は「育て方」参照。草姿、花は「ニコライの紹介」参照。

極楽鳥花の世界 鈴木勇太郎 1,982 48頁 より一部引用。

チチカマの森のアルバ

この名は花の特徴を表している。

南アフリカ、東ケープ州南部、チチカマ森林の狭い地域に自生する。比較的土壌水分が多く、日照条件の悪い場所が多い。

他種との違いは、ニコライやコウダータの花冠の色は薄青色であるのに対し、アルバは白色であること。それと形状がニコライやコウダータの場合上から見た形が鏃型であるのに対して、アルバは丸い耳状であること。

その他、有茎3種はよく似ていて、花がなければ見分けは難しい。ニコライの中にも花冠の白い個体が存在するので、花冠の色だけで判断することは出来ない。

※詳細は上の「有茎種3種の形態の違い」参照。写真は南アフリカ、チチカマの森のもの。自生地の様子はこのページ下部の「自生分布」へ。

極楽鳥花の世界 鈴木勇太郎 1,982 58頁 より引用。

ブライドリバーバレーのコウダータ

コウダータとはラテン語の「尾のある」を意味する。

南アフリカ、東トランスバール州北部からスワジランドに至る400kmの山岳地帯に自生する。他の有茎2種とは異なり、内陸部の斜面に自生する。また、比較的乾いた土壌に多い。

この命名の由来は、R.A.Dyer氏の記述によると、「コウダータの種名の理由は、下萼片の竜骨弁の中間から、細長い尾のような突起が出ていることによる。」とある。”Flowering Plants of Africa”Vol.25 1946 尾の長さは1.5~2.5cm。

他はニコライとよく似ているが葉幅がやや広い。

※写真は南アフリカ、ブライドリバーバレーのもの。自生地の様子このページ下部のは「自生分布」へ。草姿、花は「コウダータの紹介」

極楽鳥花の世界 鈴木勇太郎 1,982 62頁 より引用。

※南アフリカ、ポートエリザベス大学、ファン・ダ・フェンター博士(1974)、及び一部鈴木勇太郎氏調査結果

極楽鳥花の世界 鈴木勇太郎 1,982 9頁 を元に園長が作成したもの。

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