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極楽鳥花植物園 Strelitzia Botanical Garden

何か変だぞ園芸の常識 このページでは園芸の常識を検証しています。

水滴で葉焼けは起きるのか

ストレリチアで実験・・・BEFORE

(1)水掛け直後1

(2)水掛け直後2

よく、夏の管理で晴れた日中は葉に水を掛けないと注意を呼びかけている先生を見かけることが多くなりました。それは葉に付いた水滴がレンズ効果で太陽光を収束させて葉焼けを起こすのだと言う。

大切な植物が穴だらけになったら大変です。にわか雨の後、天気が回復したら至急水滴を拭き取らなくてはなりません。早速準備を始めなければ・・・とその前に検証を行いました。

写真はハウス内地植えストレリチアです。水やりの際、葉にも水を掛けてみました。一方向からだけではなく、反対側からも掛けておきました。

ストレリチアの葉は直立しているので、大半はすぐに流れ落ちてしまうものの、葉裏や一部の表面に水滴を残すことに成功した。

この後、しばらく放置しておいた。

※この日は朝から晴天で、時刻は正午近い条件で行いました。当ハウスから最も近いアメダスの正午の気温は、28.1℃でした。よって、ハウス内は30℃以上あると考えます。

ストレリチアで実験・・・AFTER

(1)草姿1

(2)(1)の葉

(3)(1)の他の葉

(4)草姿2

数分くらい必要かと思っていましたが、予想以上に早く結果が出ました。

結論としましては、何も変化はありませんでした。

それはストレリチアの葉の温度が上がっていて、レンズ効果の前に、水滴が間もなく蒸発してしまったからです。

すぐに蒸発しなくて残っていた水滴付近に関しても、葉焼けは起きていません。また、葉焼けまで行かない葉の変色もありません。

一度掛けてだめなら、もう一度掛けたらどうかですが、何度掛けても葉やけを起こしません。これは過去に行ったときも同様です。

もう少し申しますと、私自身、過去、数十年に渡る園芸経験において水滴が原因の葉焼けは経験したことがありません。これは屋外でもハウス内でも変わりません。

もしそれが起きるとすれば、原産地でも起きているはずですが、そういう写真を見ても葉焼けによる変色や穴の開いた葉を見たことがありません。

以上のことから、少なくてもストレリチア、及び当地方と同じ寒冷地では水滴による葉焼けの心配は無いと考えて問題ありません。

よって、雨の後、葉の水滴を拭き取る必要はありません。

※過去行ったのは、例えば時刻が14:00頃であっても、気温がもっと高い条件下でも結果は同じでした。ハウス内は屋外よりも気温が高く、風通しが悪いため、条件としては厳しいと考えます。

ゴムの木で実験・・・BEFORE-AFTER

(1)葉と水滴

(2)10分後

(3)(2)から1分後

最初のストレリチアは丈夫な植物を選びすぎたかもしれません。そこで、一般的な観葉植物であるゴムの木で実験を行いました。

(1)は日当たりの良い場所の、なるべく水平に近い葉をえらんだ。

出来るだけ丸みを帯びる様に水を載せていったものの、主脈を伝って流れてしまってきれいな水滴には出来ませんでした。

(2)10分後、水滴は蒸発しました。もし、葉が傷んでいれば、その後の直射日光で変色等何らかの以上が見られるはずです。

(3)写真は1分後ですが、この後も特に変化は見られませんでした。もちろん葉焼けはありませんでした。

条件を変えて複数回行ってはいませんが、ゴムの木の葉も以外に傾いていたり、傾斜していて上から水が掛かっても特定の場所に留まることが少ない。

また、葉が肉厚で直射日光下では葉温が上がっていて、水分が付着しても蒸発するのが速い。

よって、ゴムの木も降雨後、葉の水滴を拭き取る必要は無いと判断しました。

※実験は正午過ぎに行っています。最も近いアメダスの正午の気温は、26.5℃でした。天気は快晴です。

蓮の葉で実験・・・BEFORE-AFTER

(1)葉と水滴

(2)10分後

(3)(2)から30分後

一般的な植物では葉に水滴を留まらせることが難しいので、今度は蓮の葉で実験を行いました。

蓮の葉は中央に水が溜まり易いことと、水を弾く性質なので水滴が凸レンズ状になり易く好条件と判断した。

(1)なるべく垂直に伸びて水平に開いている葉を選び、中央に水を供給した。

(2)10分後、水滴はまだ十分あるものの、葉色に変化は無い。水温も確認したが、暑くなっていない。

(3)更に30分後、水滴は全て蒸発したものの、葉色に変化は無い。もちろん葉焼けもありません。

条件を変えて色々実験を行っていませんが、蓮の葉の構造上多くの水が溜まった場合、葉柄が傾いて排水される。

残った水分も間もなく蒸発する。

以上のことから、蓮も雨の後葉に残った水分を拭き取る必要は無いと判断しました。

※実験条件は上のゴムの木と同じです。

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