▲TOPへ戻る

極楽鳥花植物園 Strelitzia Botanical Garden

何か変だぞ!園芸の常識 このページでは園芸の常識を検証しています。。

水はたっぷりと与えなければならないのか・・・。

水はたっぷりと与えなければならないのか。

鉢植えの水やり管理において、まず出てくる言葉として、「たっぷりと与える。」があります。今回は水の量について考えてみます。

昔から園芸テキストやその他でも、何はなくとも「水やりはたっぷりと・・・」と出てきます。自分自身でも他の人に助言をするときについうっかり使ってしまいそうになる言葉です。

それは種を播いたとき、苗を植えたとき、株分け、植え替え直後にです。

当ホームページでも運営開始直後はそう記していましたが、後に変更しました。その理由は、結論として「鉢植え植物は鉢の中にある水分しか吸収することが出来ない。」からです。

どんなにたくさん与えたとしても、鉢から出て行った水は吸収することが出来ない。だから当ホームページでは「鉢土全体が湿る・・・」に改めました。

たっぷりでは無くても「鉢底から抜けるくらい・・・」と言うやり方もありますが、これでは赤玉土の様に水はけの良い土で、鉢の一カ所から水を与え始めて、底から抜け出た時点でやめた場合、水は真っ直ぐ下に通り抜け、鉢底穴から出てしまうため一部の湿った箇所と、多くの乾いた箇所が存在することになる。

これでは、生育に良くない。それで理想的な表現に改めたのです。

この「鉢土全体が湿る・・・」には鉢底から多く流れ出るほど与えなくても良いと言う意味が含まれます。しかし、このやり方には反論が多いかもしれません。それは、色々なテキストを見てみますと、たっぷり与える理由として、鉢内の悪い物質を洗い流すのだと言う。

鉢で植物を適切に栽培しているにもかかわらず悪い代謝物質でも貯まるのでしょうか?・・・これはちょっと不可解です。何故ならば、自然では多年草や木は一度芽生えたら生涯その場所で生き続けなければならず、実際に生きているからです。

屋久島の縄文杉は数千年も同じ場所で生き続けているではありませんか。

例えば、植物の根が悪い物質を分泌するとして、その分泌量は根の表面積に対し一定だと仮定すると、植物が成長するに従って総分泌量も多くなる。一方植物のその悪い物質に対する耐性は不変だとすると、大きく育った植物はそれによって枯れなければならないが実際にはそうなっていない。

また誰かが水をかけて悪い物質を流しているところを見たことはありません。これに対しては、「自然では雨が降るから。」とおっしゃることでしょう。

それなら雨が洗い流していると仮定しましょう。地球上には屋久島の様に降水量の多い地域もあれば、少ない地域もあって、それぞれその環境に適応した植物が生育しています。

降水量の少ない地域の植物としては、ストレリチアや、サボテン、多肉植物等。それらは雨が極めて少なくても生育し花を咲かせ、子孫を残しています。悪い物質洗い流し論はこれらの存在を否定することになります。

また、小雨地域でも自然ならばいつかは雨が降るかもしれませんが、私のハウス内では水やりという行為をしなければ一滴の水も得ることが出来ない。しかし、例えばアロエなら数ヶ月間水を全く与えなかったとしても、枯れないのが現状です。

その悪い物質はどこへ行ってしまったのか・・・。と言うことで、この例は現実的ではないため除外します。

次に視点を変えて、施肥の繰り返しによる何らかの悪い物質、例えば塩類集積等があったとして、それを洗い流すのだとすれば、それは、水やりで解決しようとするのではなく、肥料の種類を見直すべきである。

今までの経験から化学肥料や化成肥料の連用や多用で葉先枯れや下葉枯れ等が起こることは良くあることです。しかし、有機質肥料を適切に与えていれば、その様な傷害は発生したことがありません。

化成肥料を使いたいために、水をたっぷりと与えなければならないということならば、それは不適切な管理方法になります。

次に鉢内に悪い物質が発生しそうな原因は、未熟堆肥や同腐葉土等の使用です。これは植物を植えてから分解が始まるので、発生したガスで根を傷めることはよくあることです。最初はまあまあ育っていても徐々に葉が黄色くなって最後は枯れてしまうものです。

これは問題外で、最初から悪いものを使うべきではありません。

次に肥効面から水をたっぷりと与えないと、有機質肥料は養分として吸収されないという意見があるかもしれません。しかしそれは鉢土全体が湿る量で十分と考えます。つまり追肥で置いた肥料が微生物によって分解されて低分子化した養分は、その水やりで鉢底まで達していると考えます。

また、その養分は多量の水で鉢の外に流れ出てしまっては、植物が吸収することは出来ない。

逆に水の量が少なく鉢土の上半分しか湿らなかったならば、養分の吸収率が少なくなり、生育も悪くなることはありますが、鉢土全体を湿らす意識の水やりならば、その植物に十分吸収されると考えます。実際に我が家のレモンはその水やりで育っています。「園長室」→「園長のガーデニング(果樹)」→レモンの栽培ページ参照。

園芸初心者がちょうど鉢土全体に行き渡る量の水を与えることは難しいので、平均的に水を与えて鉢底から少し流れ出る位を目安にすることは良しと考えます。

以上のことから私は、「水やりは、ほどほどに。」をお勧めします。

極楽鳥花植物園 Copyright(C)2017,Strelitzia Botanical Garden All Right Reserved.