サンゴアロエの栽培 2003年4月3日、2010年1月~5月 以降断続更新。
鉢植えと地植え栽培
このページでは地植え、及び鉢植えサンゴアロエの紹介と、花芽が出てから開花後まで、実生の様子を取り上げています。
解説:(1)春になってアロエの中で最も美しいとされるサンゴ・アロエ(ストリアータ)が開花を始めました。
このアロエはストレリチアと同じ南アフリカ原産で広い範囲に分布してる。その地域によって草姿、花等に個体差が見られる。主な系統をご紹介します。上写真参照。
(1)はヘックス・リバー・パス、ケープタウンから北東へ約130kmでサンゴアロエ自生地の西限でやや寒冷地になる。草姿は葉幅広くコンパクトにまとまる。(2)花序は円錐形になる。他系統は水平に広がる。
(3)はストレリチア・ジャンセアの自生地と同じユイテンハーグ、草姿は葉幅が小さく細長い
(4)はウォルヴ・フォンテイン系、赤色選抜種と言われている。
(5)はサンデース・リバー・バレー、これは上記ユイテンハーグに近い。特別な特徴がない一般的な形質。
(6)はフィッシュ・リバー・バレー、サンゴアロエの自生地の中では東端に位置する。葉幅広く見栄えがする。
(7)(8)はミドルトン。最も広大な自生地。葉幅が広い株が多い。サンゴアロエの標準的な株。(7)は鉢植えだが茎が長くなったため、倒れていると言うより、倒してある。(8)は地植えで充実した株のため、花茎が3本出ている。(9)は(8)の花。これでも2花茎分の花。非常に花数が多い。
(10)(11)はストリアータの近縁種のレイノルジー黄花。葉幅が広い。この株は15cm位ある。
ストリアータとはラテン語で、英語ではストライプが入っていると言う事。(12)縦に細かい間隔で緑色の線が走っているのがよく分かる。また、葉の縁にピンク色の線が入りかわいらしい。しかし、日本ではまだ多く出回っていないかもしれません。
草体は肉厚で幅広の葉をロゼット状に展開する。(8)や下の株は地植えで肥料を多く与えたため、大きく育っているが、鉢植えで粒状の水はけの良い土に植えれば直径40~50cmの範囲に収まる事が多い。
このアロエは中央の芽のみが育ち、キダチアロエやベラ等の様に脇芽は出ない。よって、芽を腐らせてしまったらその株は終わりと言うことになる。この点がサンゴアロエを育てる上で最も重要になる。
一般的なアロエ(キダチアロエやベラ等)の花はトリトマの様な花で下から順に咲き上がっていくものですが、サンゴアロエはご覧のように長く伸び枝分かれした花茎に、橙色から赤橙色(サンゴ色)の小さな細長い釣り鐘のような花を房状に付ける。これを花序と呼ぶ。
花色は多くはサンゴ色だが、個体差で薄いサンゴ色からから濃い赤色まで幅がある。希に黄色も存在する。
(1)~(6)株は株が若いので一本しか花茎が出ていないが、充実した株(7)は2本、(8)は3本の花茎を伸ばしとてもにぎやかで花期も長くなる。
花芽は12月から1月頃には新芽近くに確認できるようになる。これが季節の進行と共に徐々に伸びて春に開花する。
同じ乾燥地帯に自生している植物であるストレリチアは根に水分を溜めていることに対して、アロエは葉に水分を溜めていて、どうしてそのようになったのか、考えてみると植物というのはおもしろい。
ストレリチアとアロエは原産地だけが同じではなくて他にも共通点がある。それは、花から蜜が分泌されて、それに引かれてサンバードがやってきて、受粉が行われることや、花の色が近いこと、種から始めて3~4年で開花する等がある。
鉢は21~24cmのポリポット、土は鹿沼土、水やりは気が付いたらやっている程度。アロエは水が切れると葉先が赤色がかってくるので目安になる。肥料も気が付いたらやる位であまり面倒を見ていない。それにストレリチアより寒さに強いため(氷点下になっても結構耐える。)放っておけるのです。
薬としての効果は分かりません。今後の研究が必要です。もし、キダチアロエと同じ様な薬効成分を持っているならば、鑑賞価値が高いこの種の方が育てる価値がある。
最後に当ホームページ→「種類」→「自生分布」→ジャンセア、中間種の自生地フォトギャラリーの中にサンゴアロエが写っている写真があります。それで自生環境が見て取れます。
病害虫 2009年4月1日
解説:(1)写真は軟腐病で芽先が腐敗し葉が取れてしまったもの。悪臭を漂わせている。(2)は腐敗が進行したもの。
きっかけは有機質肥料を施肥時、その一部が株に掛かって後の水やりで芽先が過湿条件になったとき、悪い菌の活動が活発になって感染し腐敗に至ったと考えられる。
サンゴアロエはこの様になったら助からない。一般的な木立アロエやアロエベラの様に脇芽が出ないためである。
(3)写真中央に黄緑色の小粒状のものがアブラムシ。開花が始まる頃には発生していた。他の植物から移ってくる。(4)何もしないと開花が終わる頃にはご覧の通り。交配を行っても結実まで行かないものが多い。
大量栽培で広範囲発生の場合は、薬剤散布を考えるが、趣味の少数栽培では放置でもその株にとって問題はない。ただし、このアブラムシが他に移って害を与えることが考えられるので、なるべくこの時点で駆除しておいた方が良い。
(5)(6)サンゴアロエが花芽を伸ばすのは冬場で、管理としては控え目な水やりになりますが、その水やりが少な過ぎるときに花序枯れが起こります。
写真では一部枯れですが、影響が大きいときは、花序全体が茶色に変色します。
よって、冬季間でも適当な水やりが重要になります。
以下地植え株の花芽確認から開花終了まで
解説:(1)(2)この株は地植えで斜面に植わっているため株が傾いている。1月に小さな花芽が出ました。まだ葉芽と違うことが確認出来た程度。それでも徐々に大きくなっている。(3)この頃までは日々の変化は小さい。
(4)この株は大きくロゼットの直径は90cm位ある。大きく育った株は迫力があり、岡本太郎さんのオブジェを彷彿とさせる。(5)(6)暖冬傾向の影響もあり、花芽は急速に伸びすでに枝分かれして一つ一つの花も確認できるまでになっている。
(14)先週と比べてかなり色が濃くなった。これ位色付けば数日以内に開花を始める。(15)こちらは一つ一つの花がばらけてきているものの色付いていない。
(16)(17)3月末から開花を始めました。花序の下の方から咲き上がっていきます。(18)上から見るとよく分かりますが、花が非常にたくさん付いている。(19)もう一本の花も急速に育ち開花直前にまで来ている。
解説:(20)株の生育はまだ旺盛ではない。(21)花は咲き進んでいて、最初に咲いた花はすでに落ちている。(22)一見一塊の様に見える花も下から見れば枝分かれしている。(23)遅れて伸びた右側の花序も追いついて見頃となった。全体の花数が多いので、しばらく開花期は続く。
解説:花が咲き進んだことで花数は少なくなっています。それでも花数が極端に多かったので寂しい感じはしない。今後は気温が上昇するので、花持ちが悪く、それほど長くは楽しめない。
ここ数日真夏並みの気温が続いたこともあり、花色は褪せ気味で花数も少なくなってきた。このまま行けば、まもなく開花は終える。それでも一月半長く咲いたものだ。
解説:左側の花序はほとんど終わっています。右は今付いている花が落ちれば、今年の開花は終了します。所々緑色の実(鞘)が付いているが、種子が実らなくてもこの様な実を付けることがある。
解説:5月中旬過ぎ、2ヶ月に渡って咲き続けてきた花は全て終わった。咲き始めは左右の花序である程度の差があったものの、終わりはそれほど差はなく、一気に終わった。
この株自体は2ヶ月の開花期だったが、早咲きの株から数えると4ヶ月に渡って咲くことから、結構開花期は長いことが分かる。