レブンアツモリソウの栽培 2011年6月1日~
地植え栽培、鉢植え栽培
このページではレブンアツモリソウの地植え、及び鉢植え栽培を取り上げています。
毎年初夏になると各地で山野草展が開かれ、その時期花を付ける野草を見たり購入することが出来ます。その中でもひときわ目を引くのは蘭科のアツモリソウ類ではないでしょうか。卵型の葉を数枚付けた茎の先に紅色の袋状の花を付けた様は印象的です。ところが鑑賞価値の高さで各原産地では盗掘によって絶滅してしまったのは悲しい現実です。
かろうじて残った地域では手厚い保護の元、増殖計画が進められています。国も法整備によって採取を禁じたり譲渡の制限を行っています。
この様な状況下では一般の方にとって縁の無い植物になりつつあります。そこで今月から実際にはどの様な植物なのかを地植えと鉢植えで紹介する。
(1)これは北海道の礼文島にのみ自生する「レブンアツモリソウ」です。(2)特徴は花の色が淡いクリーム色であること。この株は十数年経過して全部で20芽以上あり、花も20輪以上付けている。
(3)は地植えで今年定植したもの。
(4)(5)は今年鉢上げしたもの。花は終わりを迎えている。
当方では3月末から4月上旬にかけて芽出し、その後葉を展開しながらつぼみを伸ばし5月上旬から中旬にかけて開花、その後花は枯れ、葉と茎のみとなり、9月下旬には地上部が枯れる。
9月と言えば他の植物はまだ育っている最中であるので、あまりにも早い時期に枯れてしまって何か悪いことでもしてしまったのかと思わせるが、その頃には地表付近にに来年の芽が形成されていてほっとする。
しかし、その芽はみずみずしい薄い緑色で、これで寒い冬を乗り越えられるだろうかと思わせるが、寒さ対策を行わなくても全く問題無い。この辺りは感心させられる。
2011年7月1日 夏になって
解説:(1)(2)鉢植え・・・花は完全に終わって茶色に変色しています。茎の伸びや葉の展開も終えています。
気が付く点としては葉の色が薄いので1回肥料を与えなければなりません。芽が伸び始めた時に1回液体肥料とその後発酵鶏糞を1回少量与えていたのですが、肥切れしたようです。
日照条件は写真のように半日陰になったり、直射日光が当たったりと1日の中でも変化があります。
(3)地植え・・・こちらも花は全て終えています。1年の中で最も葉がきれいな時期です。この株は芽出し後多めの発酵鶏糞を与えているので、栄養状態は問題ありません。ちょっと雑草が目立ってきたので何とかしなければならない状況です。
現在日光の当たらない時間帯です。この株も直射日光の当たる時間帯と半日陰になったり全く当たらなかったりしています。この様に日照条件が良くなくても株が悪い状態になったり、病害虫が発生したりしません。
それでいて多肥でも当たらない丈夫さ等、意外に知られていないことかもしれません。・・・と言うよりこの植物そのものについて知られていないと言った方が適切かもしれません。
今は鉢植え、地植え共に今は肥料を効かせた状態で、なるべく日光に当てて株を充実させるといった管理になります。
ちなみに当地方気温は最低が21℃、最高が31℃位です。
2011年8月1日 梅雨が明けて
解説:(1)梅雨入り後はほとんど水やりを行わずに済んでいます。ほぼ半日陰の置き場所と適当に降雨があったためです。
先月1回少量の発酵鶏糞を与えてあります。それで肥切れ状態は回避した様子です。
(2)梅雨明け後の日射と高温で葉先が傷んでいますが、これは当方では例年見られることです。これ以上葉枯れが進まなければ問題になりません。
(3)は葉枯れが見られますが、これはまだ梅雨明け前に近くに置いていた背の高い鉢植え落葉樹の葉が茂ってきてレブンアツモリソウの日照が遮られるようになったため移動させた後、例年より早く梅雨明けして、強光を受けて葉焼けしたものです。
幸いなことに全ての葉が枯れてはいないため、株がだめになってしまうことは無いと見ています。
この時期はこれらの周囲に生えている他の植物が育って日照時間は少なくなってきています。昼間でも完全に日の当たらない時間帯もあります。それでも悪い状態にはならない。もし、人工的に遮光するならば、遮光率50%の寒冷紗1枚で行けそうな気がします。ただし、その程度は地域差はあるかもしれません。
今は雑草取りが主な手入れです。ちなみに梅雨明け後の気温は最低が23℃、最高が33℃位でした。最も暑くなった日は34℃未満位です。
2011年9月1日 猛暑が去って
解説:(1)は午後3時過ぎの様子です。立地条件や周囲の木々によって日光は当たっていません。明るい日陰と言った感じです。午前中は直射日光や木漏れ日が当たっています。
(2)は午後1時過ぎの様子です。木漏れ日が当たっています。葉焼けは先月から悪化していません。
何れも葉先枯れが進んでいます。それと同時に葉の中央が黄変し始めています。
この様になってきたら葉がきれいな状態はそう長くはありません。間もなく全体的に黄変してきます。
先月からの1ヶ月間も不安定な天気が続いていて、かなりの日数に渡って午後にわか雨があり、鉢植えの方はほとんど水やりを行わずに済んでいる状況です。この様に雨が多くても悪い病気が発生することはありません。逆に肥料の分解と吸収が促進されて、栄養状態は良さそうです。
2011年10月1日 秋になって
解説:(2)例年の今頃は葉が枯れてしまっているのですが、今年はまだ緑色の葉が残っています。昨年は猛暑の影響からか気が付いたときにはすでに草体全体が茶色になっていて、「しまった!!」と思わせたものです。
それでも短い生育期間中に翌年の花芽を形成していて、今年の初夏には花を楽しませてもらいました。
今年は盛夏に天候不順になった影響からか、この時期になっても青々していてこの状態が異常に感じます。土が良すぎたか・・・、肥料が多すぎたか・・・。日光は相変わらず1日の中で限られた時間、木漏れ日が当たっている様な状況です。
(1)鉢植えの方が日照条件が悪いのですが、葉が枯れ始めています。こちらの方が例年並みと言えます。
2011年11月1日 秋は深まって
解説:(1)(3)10月に入って間もなく0℃近い冷え込みになって、急速に葉が枯れて茎が倒れてしまいました。
それでも今年は遅くまで葉が緑色だったと言えます。昨年の様な猛暑にはならなかったことと、夏場でも適当に気温が低くなったりした影響があったかもしれません。
(2)今年出た株元までしっかり枯れているので、絶えてしまったのかと思わせますが、少し土を掘ってみると白っぽい芽(写真中央)が形成されています。これが冬を越して来年花を咲かせます。この芽は地面に近い所にあるので、冬の寒さでだめになってしまうのではないかと、心配させます。一般的な植物であれば無防備と思わせる芽の色だからです。
しかし、見た目の印象とは裏腹にしっかりと言うか、何事もなかったかのごとく越冬するところは感心させられます。ちなみに今まで寒さで枯らした経験はありません。それもそのはず、当地方ではこの株を植えてから最も冷え込んだ気温は-14℃位ですから。自生地よりは暖かいのかもしれません。
2011年12月1日 冬になって
解説:11月下旬になって降霜や数回氷点下の冷え込みで周囲の草は枯れ、落葉樹は葉を落としています。
(1)鉢植えは路地に穴を掘って埋めました。埋めると言っても鉢の上部が地面と一致する位の深さです。
寒冷地において鉢植えの越冬はこの様にした方が安全です。
それは、鉢植えを路地で何もしないで越冬させる場合、それが耐寒性の強い植物であっても、枯らすことがあります。
その原因は夜間の凍結(膨張)と日中融解(弛緩)を繰り返すことによって、根と土が離されて給水が少なくなって、乾燥が進むのではないか、と考えられます。
それが埋めてあれば、寒さによる凍結はあっても、むき出しの状態よりは根圏の温度変化が少ない(安定している)ので枯らす危険性は低くなる。と考える。
2012年1月1日 真冬になって
2012年2月1日 大寒を過ぎて
2012年3月1日 雨水を過ぎて
2012年4月1日 春になって
2012年5月1日 桜が咲いて
解説:4月8日頃-5℃近い冷え込みになって以降、気温は一気に上昇してすでに初花の陽気です。最低気温は10℃近く、最高は25℃近い。この様な気温も手伝って芽の動きが早くなってきました。
(1)は路地の様子で全体を写した写真でもどこに生えているかが分かるほど伸びてきました。
(2)はその一つ、株分けから二年目になります。 この株は4芽あって、草丈は7cmほど。この程度の太さがあれば全てに花を付けます。
(3)は鉢植えで二芽付いている。草丈は地植えと同じく7cm、やはりこの程度の太さがあれば両芽共に花を付ける。
茶色い箇所は発酵鶏糞を与えている。本当はもっと早く与えたかったが、まさか一気に気温が上昇するとは思わなかったと言うことです。今後降雨があれば肥効が期待出来る。
施肥量は一般的な植物と同じかそれ以上与えても肥当たりしない。もちろん希少植物なので無茶な事はしていません。
今年は春にかけて低温傾向で推移したためこの植物も開花が遅れそうです。早い年は5月の連休頃咲き始めていたが、今年は連休後になりそうです。
2012年5月11日 初夏になって