メダカを飼う 2009年4月1日~
容器飼育
このページでは主に黒メダカの屋外飼育について取り上げています。
前書き:「たかがメダカ、されどメダカ・・・」
この場所はビニールハウス内で、水槽で飼っています。私の飼っているメダカは、色の付いた品種ものではなく、今から15年位前当地方採取の黒メダカです。よって、分類上は南日本集団の東日本型と推測されます。
今でこそ環境相のレッドデータブックでは、絶滅危惧Ⅱ種との位置付けですが、当時は天然メダカを採取出来たんですよね~。しかし、最近は見かけなくなったことから、運が良かったとしか言いようが有りません。それよりもよく今まで絶やすことなく飼ってこられたなと言うのが正直なところです。
なぜメダカかと言われれば、例えば釣りでは「フナに始まってフナに終わる。」と言われるのと同じ様に、魚を飼う時も「メダカに始まって、メダカに終わる」と言った言葉が当てはまるのではないかと考えます。実際に今までいろいろな魚を飼った経験がありますがどれもしばらくすると飽きてしまうものですが、なぜかメダカだけは長続きして15年も経ってしまった。
メダカは金魚や熱帯魚の様に特別きれいでもなく、性質が変わっている訳でもない。メダカを飼うくらいなら他の魚でも飼った方がましと思いがちです。それでも屋外で晴れた日、メダカの背中が反射して金色に光っていたり、目が(人間で言えば白目の部分が)薄い青色(水色)できれいなことが数少ない魅力と言ったところか・・・。派手さは無いが、逆にそれは飽きなくて良いと言うことは間違いない。本当は自然の河川で生息していてもらいところ。
(2)は2012年に採卵、孵化させた中から出てきたもの。尾ひれに近い箇所の鱗が3枚反射して光っている。北陸の方のメダカはこれと同じ特徴があると、テレビで紹介されて、うらやましく思っていたら、自分の所でも出てほっとしています。この個体以外にも複数同じ特徴を持った個体がいるので、選抜して交配していけば更に鱗が反射する個体が出現するのではないかと期待させる。
基本管理・置き場所
容器
とにかく水が貯まるもの。水槽、発泡スチロール箱、プラ船、睡蓮鉢等。
衣装ケースやプラスチック製品は直射日光で劣化しやすく、数年でだめになってしまうことが多い。また発泡スチロール箱は足をぶつけたり、ちょっとしたことで壊れやすいので要注意。長い目で見れば初期投資が大きくなっても丈夫な睡蓮鉢やプラ船の方が望ましい。
上の水槽はガラス製だが、縁はプラスチック製。日の当たるところで劣化が心配されるところだが、今のビニールは紫外線カットのものもあり、都合が良い。よって、今のところ痛んではいない。
尚、底には土や砂は入れていないが土を入れると水質を維持しやすい。
水:水道水。雨水等。
水替え:基本的に行わない。上の水槽は一番長いもので15年間位水替えを行ったことが無い。他のものでも初期設置時に入れた水道水で、後は蒸発した分を補充しているだけ。その際直接水道水を入れて問題無い。
上の水槽はハウス内なので、雨水も入ることは無い。それでも生育、繁殖し悪い病気も発生していない。例えるならば老舗鰻屋の秘伝のたれを創業当時から継ぎ足し継ぎ足し使ってきたと言う話と似ている。
大食漢の大型肉食魚を飼っていて水質が悪化しやすいのは分かるが、メダカの様に小さな魚の水を定期的に替えなければ飼えないほど水質が悪化してしまうのは、餌の質や量等飼い方に問題があると考えます。
濾過
掃除屋さん
餌
稚魚専用飼料を日に一回与える。。量はそこにいるメダカが食べきるか、多くてもややあまる位を目安とする。品質は出来るだけ良いものを与えたい。
良い餌とは、栄養のバランスと嗜好性が良いものを指す。それが良いか悪いかは与えてみればすぐ分かる。餌が水面に落ちた瞬間メダカが振り返り口にする様でなければ、話にならない。そうでなければ、水を悪くするだけである。時間が経てば食べるというものではない。尚、保管は冷蔵庫で変質を防ぐ。
購入先: スタジオポエキリア 国産グッピー専門店です。
商品名は、「グッピーベビーフード」です。上のレッドラムズホーンも購入できます。
水草
病害虫:水生昆虫他
害虫は天敵であるヤゴ、マツモムシ(1)、ミズカマキリ、タイコウチ、タガメ、げんごろう等の水生昆虫。
(2)は交尾中のイトトンボ。我が家ではこのヤゴによる被害が多い。
その他ヒドラ(3、円内)。水が悪くもなく、悪い病気も出ていないのに、数が減っている場合、これらの害虫が育っていることがある。病気は適正条件下では発生しない。
要注意点として、いろいろな魚を一緒に買わないこと。特に病気が発生している水槽のメダカ、魚を入れることは避けたい。水草についても同様で、病気を持ち込む可能性がある。
(4)はアカガエル。屋外で飼育している場合、住み着いてしまうことがある。捕食は猛獣の様に積極的に追いかけると言うよりは、待ち伏せで目の前を通りかかったものを捕らえているようです。これ1匹でも親魚を捕らえてしまうので、被害は大きい。
飼育数:飼い始めるに当たって必要な数は一番(ワンペア)で良い。最初は寂しい印象だが、数ヶ月後は安心出来る数まで増える。その後近親交配を避けるために親、子、孫等分けたり、別の個体を入手しなくても問題無い。いわゆるどんぶり飼いにしておけば良い。※どんぶり勘定と同じ考え方で、ご飯を盛る器で飼うことではありません。
上の水槽では一番から飼い始めてこれまで約15年、毎年増やして代を更新しているが、奇形が多発したり、悪い病気になったり、増えにくくなったりしていない。
日頃の管理:自然発生し、過繁茂したアオミドロは除去する。水が蒸発したら足す。以降同。
2009年6月1日・・・孵化始まる。
解説:(1)5月5日頃から今年の産卵が始まりました。産卵は午前中に行われるものの、しばらく雌の肛門付近に卵を数粒付けて泳いでいる。午後になると、泳いでいるうちに水草やアオミドロ等に付着するものが多い。
趣味の飼育ではそのままにしておいても孵化し親魚まで育つ事が多いが、本気で増やそうとした場合は、採取して別容器で育てた方が効率が良い。円内は産卵直後の卵。大きさは直径1mm程度。
親魚が卵をぶら下げて泳いでいるときに網ですくって採卵するか、水草に付着した卵を回収する。産卵から孵化までは、今の季節は水温が低いため2週間以上掛かる。
(2)は5月下旬に集めた卵。この水槽では水草よりアオミドロに付着する卵が多い。写真で黒っぽく写っている粒が卵で、目がはっきりと確認出来るまで育っている。産卵直後の卵は透明に近いので、この写真には写っていない。
この後、別容器に水を張り少量のアオミドロに付着する様に卵を入れた。その際、エアレーションや濾過器は付けていない。水を落ち着かせるためにあまり早く孵化用容器を設置してしまうと、トンボが卵を産み付けヤゴになり、後で生まれたメダカを食べてしまうので、要注意。
(3)5月末になり、孵化が始まった。色は灰色から黒っぽく、頭でっかちで細長い。大きさはおよそ3mm位。この頃が最も親魚に狙われやすい。飼育環境が悪い場合は、そのほとんどが親魚の餌になってしまう。
もし、稚魚が餌を追うようであれば与える。上記餌は稚魚用ではあるが、メダカの稚魚には大きすぎる。よって、指でつぶして与えている。量は極わずか。
2009年7月1日・・・稚魚用水槽の稼働
解説:6月から孵化が活発になり新たに稚魚用水槽を設置した。(1)は60cm水槽に水道水を入れている。(2)8割位入れて完了。この後マツモと少量のアオミドロを入れた。また、簡易フィルターでエアーを送っている。
一晩おいて稚魚を放した。時間をおいたのは、水温を合わせるため。
(3)数日後から粉状に砕いた餌を与え始め、次第に緑色を帯びてきた。水が白く濁れば悪い状態だが、緑色であれば問題無い。水面に黒く見えるのが稚魚。大きさは6~7mm位。
2009年8月1日・・・水槽の再セット
解説:以前から気になっていた事にヒドラの被害があり、薬剤での駆除も考えたものの、メダカや水草だけ影響なしとはいかないと判断し、思い切って水槽の再セットアップに踏み切った。
手順は親魚は他の容器へ移動させ(1)、ホースで水を抜き(2)、底に溜まっていたヘドロはきれいに落とし、水を切って数日乾燥させた。(3)
その後水を入れエアレーションを行った。(4)数日後親魚を元に戻して完了。(5)
これで、この水槽にはヒドラは見られなくなった。気をつけたいことは、この水槽に再び以前の水草を入れたり何らかのものを入れると、一緒にヒドラを入れてしまうこともあると言うこと。
この処置でモノアラガイも駆除できて水槽内はスッキリとした。
(6)は6月に孵化した稚魚でだいぶ大きくなってきた。
2009年9月1日・・・今月の様子
解説:(1)気温の高い時期で晴れた日は水面近くにいることが多い。餌やりや作業で近づくと波紋を残して潜ってしまう。9月に入ったが、まだ水温が高く活発に活動している。産卵も毎日行われている。
(2)はマツモに付着した卵。一粒ずつバラバラに付着している。(円内)(3)は塊で付着している。(円内)(4)は(2)(3)と同じ容器内で孵化した稚魚。(円内)まだ動きは小さい。それでも細かく砕いた餌を口にしている。良い環境下ではこのまま親魚へ育つことが多い。水面に浮かんでいるアオミドロは卵を付着させるために入れてある。
(5)は5月に産卵、孵化した稚魚の様子。一番大きな個体で2cm位。孵化時期によって大きさが異なる。今年生まれた稚魚は人に馴れやすく、(警戒心が弱いの方が合っているかもしれないが)餌やりや水槽の手入れで近づいてもそれほど逃げ回らない。
ところが一冬越すと、親魚と同じ様に警戒心が強くなり、人の姿を確認しただけで潜ってしまう様になる。こちらは餌をやろうって言うのに、逃げてしまうのでそれなら「別にやらなくてもいいんだよ」と思ってしまうものです。
今後一番大きな稚魚は、来月には産卵するまでに育つ。
2009年10月1日・・・今月の様子
解説:(1)この水槽を置いてあるハウスで、他の植物の手入れをしていたら何か視線を感じる。しかもそれは複数の視線を・・・。
何かな~っと辺りを見回してみたらなんと親魚が水槽の手前に集まって左右に泳ぎ回っていたのです。
メダカは警戒心が強く人に対しても警戒しますが、時間を掛ければ馴れてきます。よく熱帯魚店で水槽の前に立つと魚が寄ってくることと同じ事が起きます。
「お帰りなさいませ。ご主人様」と言っているかどうかは分かりませんが・・・?!、餌を求めて近寄って来ていたのです。今まで大体決まった時間帯にえさを与えていたので、徐々に馴れてきたのです。
この様なことは珍しいことではありません。以前室内で飼っていたときも同じ事が起きました。しかし、一冬越したら元の警戒心を取り戻してしまいました・・・残念!!
親魚の色が黄色っぽいのは底に砂や土を入れていないため。これでも黒メダカです。
(2)親魚とは逆に最近警戒心が強くなってきたのは春から育てている稚魚です。ちょっと近づくとすぐに潜ってしまうようになりました。これが本来の姿ではあります。大きさは一番大きな個体は産卵出来る位にまで育っています。
(3)レッドラムズホーンについて取り上げます。この写真は緑色のカメムシが水面に落ちて(矢印)レッドラムズホーンやモノアラガイが集まってきたものです。これ程飢えていたのかと思わせます。もちろんメダカの死骸でも同じ事が起こります。一応掃除屋として入れているので、当然と言えば当然の出来事。
2009年11月1日・・・今月の様子
2009年12月1日・・・冬の管理
解説:(1)(2)水温は10℃を切っています。晴れて日光が当たっているときは水面に来ている。その他は底にいることが多くなった。それでも水槽の前で作業していたら寄ってきたので餌を与えたら口にしたが食は細い。
(3)写真では水槽底の角にいます。普段はアオミドロの下、何かものの陰でじっとしている。撮影に驚いて角に集まった。
2010年1月1日・・・冬の管理
2010年2月1日・・・冬の管理
2010年3月1日・・・春の管理
解説:(1)(2)当地方記録的な暖冬傾向だった影響もあり、晴れた日は水面にいることが多くなった。
それを見て餌を与え始めた。食欲は旺盛。
昨年秋までは人に馴れていたが、一冬経つと警戒心が戻って、人影を確認するとすぐに潜ってしまう。
(4)は2011~2012年の冬季無加温ハウスで越冬させた親魚。冬期間水が凍結した際、凍らない領域に行けなかったか、又は水が全て凍ってしまったため、死亡したもの。
今シーズンは最も冷え込んだ日は-14℃近くなったのでこの様な凍結死があっても仕方ない状況でした。
(5)は同じく無加温ハウス内で無事越冬した別水槽。こちらは稚魚もいるが体調は良く、晴れた日は水面近くを泳ぎ回っている。この様に同じ場所へ置いていても片方は死んでしまって、もう一方は問題無いと言うことが起きます。よって、リスクの分散の意味からも、一つの容器で管理を行うよりも、複数に分けておいた方が良い。
2014年5月2日・・・越冬水槽の様子
解説:(1)(2)'13~'14年の冬季は確実に越冬させるために、室内に置いた水槽で管理してきました。水槽に入れた直後は落ち着きが無く人を見るとパニック状態だったものの、今では人の姿を見かけると寄ってくるまでに慣れています。
室内水槽は無加温でも、屋外よりは水温が高いので冬でも餌を与えれば食べていて、普段水槽に向かって右上にある蓋の窓から与えていた。
それで学習したのか、今では餌の時間になると水槽の右半分に集まってきて、それはまるで水族館の鰯水槽を彷彿とさせる。
(3)(4)餌を与えると我先にと食欲旺盛です。この慣れ具合なら手渡しでも食べそうな感じです。
(5)餌を食べ終わっても、カメラを近づけて撮影していると、まだ満腹では無いのか、好奇心が強いのかは定かではありませんが、近づいてきてガラス面まで来ると左右に去って行きます。
注意深く観察すると、雌のおしりには夜でも卵を数個付けて泳いでいます。今後は時期的には凍結の心配が無くなったので、再び屋外で増殖させます。