ジャンボニンニクの栽培 2008年9月~
地植え栽培
このページではジャンボニンニクの家庭菜園向け管理等を取り上げています。
食品の毒物混入事件や偽装事件が度々起きると、自分自身で食事を作ることが多くなりますが、材料を国産で揃えようとすると値段が張るものがあることに気が付きます。ニンニクはその代表と言ってもよい野菜です。
中国産は幾つか入った一袋が300円に対し、国産は一つ300円が相場です。「これは高い!!」、ならば自分自身でニンニクを育ててみようと考えますが、一般的なニンニクは病害虫の影響でなかなかうまく出来ないことが多いものです。そこで今回は初めての方でも比較的簡単に栽培収穫出来る、ジャンボニンニクをご紹介致します。
※写真は自家採取もの。
※各土壌改良材、及び肥料の量は土壌状態によって加減する。
※その他:種鱗片、及び土壌消毒は行っていない。
2008年10月1日・・・発芽
2008年11月1日・・・生育初期
解説:(1)今年の秋は比較的高温傾向で推移したため芽の伸びが良い。すでに6~7枚葉が出ている。(この場所はハウス内のため、冬期間でも成長している。)
(2)ジャンボニンニクは比較的病害虫には強いが、この様に害虫が付き葉を食害する。対処法は農薬散布が手っ取り早いがここでは安全第一に考えるため、手で取ることにした。
(3)は10月1日に植え付けた商品名「ニューホワイト六片種」です。(以下、一般種と呼ぶ)
ジャンボニンニクとは異なり、草姿が貧弱に見える。以前のホワイト六片種と何が違うのか未確認ですが、比較のため参考に植えたものです。つまり、ジャンボニンニクは良くできても一般種は病害虫に弱いと言うことをです。
ただ初めて植える場所なので良く出来てしまうかもしれません。
2008年12月1日・・・生育初期
2009年1月1日・・・生育初期
2009年2月1日・・・生育初期
2009年3月1日・・・生育中期
解説:(1)(2)現在の草丈は90~100cm。2月から気温が高くなったことから生育が早まっている。株元は生育と共に太くなり、直径は3cmを超えている。
肥料は元肥意外には施していない。今後も与えない。また、隣で育てているホワイト六片種の赤さび病が移ることはないので、薬剤散布は行っていない。
(3)(4)草丈は50cm。葉数も増えてはいるものの、赤さび病の影響で下葉は枯れている。
2009年4月1日・・・生育後期
解説:(1)~(3)草丈:100cm、葉数:17枚~18枚。初期に出た数枚は枯れている。写真では分かりにくいが、株元はかなり太くなっている。
今月から薹立ちしピンク色の花を咲かせる。花を咲かせると鱗片の肥大が悪くなるので、実際にはつぼみの段階で摘み取る。こちらは病害虫の被害はない。
(4)~(7)草丈:70~80cm、葉数:10枚~14枚。
相変わらず赤さび病は出ている。このところの高温乾燥で、範囲は広がっていない。
それ以外にヨトウムシが付いた。これは気が付いた時点で捕殺すればよい。
2009年5月1日・・・生育後期
解説:(1)草丈は170センチ位。(2)株元の茎はかなり太くなっている。下葉枯れが見られるが、この程度であれば収量に影響しない。(3)早い株はつぼみを伸ばしている。
つぼみが見えたら早めに摘み取る。株に付けたままで花を咲かせると、鱗片の肥大が悪くなる。その際、刃物は使わずに手で折るようにする。理由はウイルス病感染予防のため。鋏を使って切った場合、ウイルスを多くの株に感染させてしまう危険性が高まる。
葉全体に緑色の濃淡が斑状に現れていて、生育が悪い株はウイルス病が疑われる。この様な株を発見した場合は、抜き取って処分した方が良い。
※上記症状の株は玉が大きくならない(収量が少なくなるため)ウイルス病に感染したと見ています。
(5)は秋に付いた害虫と同じで、春にも発生する。茎に穴を開けたり葉を食害するもの。無農薬栽培のため、気が付いたとき指でつぶせばよい。
(6)草体は大きく育っているが、鱗片は大きくなっていない。それでも掘ってみると基部が少し膨らみ始めている。
(7)草丈は1mまで伸びている。(8)相変わらず赤さび病は出ているが全体には広がっていない。
2009年6月1日・・・肥大期
解説:地上部の変化はありません。今鱗片が肥大している時期になります。
そのためにつぼみの段階で摘み取りましたが、咲かせると花は(3)の様に結構きれい。この見覚えのある花はアリウムです。
今月中旬から収穫期に入る。
赤さび病が蔓延しています。その割には緑色の葉が残っている。
(6)この種でも薹立ちする。しかしこれが開花することは無いことと、病気が出ていることからつみ取りも行わないで放置した。
一般的には摘み取る。
2009年6月16日・・・収穫期
(1)(2)まだ緑色の葉が目立つものの下葉がだいぶ枯れてきたので、思い切って掘り上げました。
大きさは平年並みです。大きいものでリンゴ大。小さいもので成人男性の握り拳大。写真では分かりづらいがかなり大きい。
(3)花は今満開です。花用のアリウムとほとんど変わらない。大きさはグレープフルーツ大。
(4)(5)こちらの方が早く枯れてしまいました。赤さび病の影響があったようです。
一応にんにくの形は呈しているが、若干小ぶり。一球が六片ではなく五片以下のものが多い。かろうじて来年用の種にはなりそうな大きさ。
(6)左がジャンボ、右が一般種。ジャンボ種の一片が一般種の一球位の大きさ。
2009年7月1日・・・保存期間
解説:(1)先月中旬に収穫した各種は乾燥が進み葉が枯れたことから茎を切り落とした。今は発泡スチロール箱に入れてある。
(2)(1)の花は終わって色褪せてきた。この様に花を咲かせると葉がしばらく緑色で枯れるのが遅れる。これは花を咲かせると小さな玉になると言うことを示すために一株だけ咲かせている。
2009年8月1日・・・保存期間
解説:(1)収穫、乾燥後鱗片をばらして大きさ別に分けた。一株(一球)のニンニクをばらすと、大きさの異なる鱗片が付いていることが確認できる。左から大・中・小・木子(仮名称)とした。この中から食用と種用とを分ける。大きな鱗片を植えると大きなニンニクが収穫出来て、小さな鱗片を植えると小さなニンニクになる。
よって、大と木子を種用として必要数取っておいて、中と小を食用にする。又は、中と木子を種用として、大と小を食用にしてもよい。
中以上の鱗片を植えれば大きなニンニクを収穫することが出来る。木子は3~4年育てれば、大きなニンニクを収穫できるまでになる。小も2年くらい育てると大きなニンニクを収穫できるようになる。
肝心の食味は一般的なニンニクより香りが控えめ。レンジで加熱するとほくほくした食感が楽しめる。栄養に関しては未確認。それよりも無農薬栽培であるため、安全、安心。
(2)下記参照。
(3)乾燥、保管中に腐敗したもの。これは種用には使えない。
(4)(5)一株だけ花を咲かせていた株のその後。葉は全て枯れ茎だけになった。花の跡で茶色の箇所は枯れていて、緑色の箇所は種子が付いているように見えるが、発芽能力があるかは未確認。
鱗片は大きくなっていない。(5)左は小さめの一般種。ほとんど差がないことから、つぼみを摘み取ることが如何に重要かがよく分かる。
大きなニンニクが無農薬で比較的簡単に収穫できることから、作る喜びも大きい。
2012年6月15日・・・球状球(無分割球)の様子
2012年6月22日・・・保存鱗片の様子
解説:ジャンボニンニクは薬剤や特殊環境無しで長期保存が出来るのか、また長期保存したらどうなるかを紹介します。
(1)は昨年6月に収穫し乾燥させて保存していた鱗片の現在の様子です。これらは収穫直後から冬期間は全く腐敗が発生していなかったものです。(2)(3)さすがにこの時期になると気温が上がって腐敗するものが増えてきます。
悪臭を放ったり、青カビが生えたりします。その様なものは発見次第処分します。尚、収穫後、間もなくカビが生えたもの(感染が部分的なもの)はその箇所だけ(変色した組織は全て)取り除けば食用に出来ます。
(4)(5)この時期全部がだめになってしまうと言うことではなく、ある程度の数は悪い菌に感染しないで残り、食用として利用出来ます。ただ芽や根はやや伸びます。この芽は繊維が堅くないので食用になります。
この間、保存方法は特別ではありません。コンテナやトレーに入れて無加温ハウスの端に置いて日よけをしていた程度です。冬期間は放任です。それで春以降、たまに腐敗したものを処分していました。
気を付けていたことはじめじめさせないことです。これは腐敗と根が伸びることを助長させるからです。
それでこの1年間はニンニクを買わずに済んでいます。肝心の食味はどうかと言いますと、収穫直後のみずみずしい食感は無くなりますが、香りはあります。それは上流階級の食事には向かないかもしれませんが、庶民の食事には使うことが出来ると考えます。
それが「1年前のニンニクだろう!!」と気が付く人はそうはいないと思います。
今月は収穫になりますので、この古いニンニクはこれでまとめて処分となります。正常なニンニクを植えたらどうなるかって?・・・ やってみる? ・ ・ ・