ユーカリ・マクロカルパの栽培 2012年5月1日~
このページではユーカリ・マクロカルパの播種から開花までを掲載予定です。
ユーカリと言えば一般的にはコアラの餌としては有名ですが、それ以上の事は知られていないのが実情でしょう。
ユーカリは種類が多くオーストラリア以外でも広く栽培されて、いろいろな用途に使われている。その中の一部がコアラの餌になっていて、鑑賞価値に優れたものも存在する。
‘マクロカルパ’は花が美しい種類の一つ。
表面に白い粉を吹いた灰緑色の葉と、それと対照的な赤い大きな花、丈夫な性質と良いものを持っているのが‘マクロカルパ’です。しかし、一般の方が見かける機会は少ない。そこで、今月から実生から開花まで、その過程を紹介する。
※写真は自家栽培のものです。その証拠に背景はストレリチア。
播種
基礎データ:フトモモ科、常緑低木。西オーストラリアの乾燥地原産。花が美しい種類。
(1)は種子の様子。これ全てが種子ではなく、種子の周囲の器官(果柄やゴミ)も含まれている。
(2)は播種後5日、水を与えたところ。播種方法は草花の一般的な方法で特別な事はありませんので、省略します。その後の管理はトンネル内で電熱線によって加温しています。(3)は最初の発芽。(中央の赤色の芽)
(4)以降、播種後10日でだいぶ数が増えてきています。現在でも発芽してきているものもあります。(5)軸は赤い。
(6)発芽後数日経って双葉が大きくなってくると緑色に変わる。
2012年6月1日 本葉増える。
解説:(1)播種から1ヶ月以上経過し、ほぼ出るものは出た状態です。手前の箱と奥の箱とで発芽数が違うのは、管理上の問題ではなく、種子の問題です。
手前に播いた種子は全体の中で良い種子の割合が低かったと言うことです。
(2)苗の大きさは、丈が5~6cm程度で、葉は双葉以外に本葉が4枚位のものが多い。
現在の管理は土の表面が乾いた時点で水を与えています。時節がら乾きやすくなって、乾燥が行きすぎると枯らします。乾燥地帯自生の植物にしては簡単に枯れてしまって困ったものです。
肥料は与えていません。置き場所は日当たりの良い場所です。
今後もう少し育って水やり管理が難しくなったときは鉢上げを行います。それまでに何本残るか・・・
2012年7月1日 生育進む。
解説:(1)梅雨入り以降気温が高く安定してきたこともあって生育は順調です。
葉数が増えてきたことから土が乾くのが早くなりました。
(2)それで水やりが遅れると枯れるものが出てきます。写真右手前。
(3)発芽したときは細長い双葉だったので、何か他の植物が生えてきたのではと思わせたが、本葉が増えてきてその葉形から間違いなかったと思わせます。葉色はすでに灰緑色になっている。
(4)新芽は紅色がかっています。
(1)で手前の箱の苗数が少ないのは、元々種子の数が少なかったためです。それで奥側の苗よりも茎が太くがっしりとした印象に育っている。
そろそろ鉢上げしたいところです。
現在の管理は水やりのみです。
2012年9月1日 更に生育進む。
解説:(1)先月以降、あまり細かいことを考えずに液体肥料を2回位与えてあります。
それで生育は順調です。
(2)は同じ様に育てているにもかかわらず、中央の1本だけ旺盛の育ってしまって、どうしたものかと言ったところです。
先月付いていたアブラムシは、このユーカリはあまりおいしくなかった様で、現在は姿を確認できなくなりました。
(3)こちらは(2)ほど生育差は出ていません。大体同じ様に育っています。ただ、旺盛と言うほどではありません。
現在の管理は水やりのみです。土が乾き始めたと思っていたら、すぐに全体が乾いてしまう様な状態で気が抜けない毎日です。それでもある程度大きくなってからは乾燥で枯死させたものは無いので、適切に水やりが行えていると考えています。
尚、肥料は控えています。もう少し経って与えるかどうかを考えます。
2012年11月1日 生育止まる。
2014年4月7日 鉢上げ行う。
解説:しばらく更新が無かったので枯らしたと思われたかもしれません。昨年は忙しかったので、ほとんど放置でした。
株の方は育苗箱では限界な程育ったので、今年3月に鉢上げしました。用土は赤玉土と鹿沼土を1:1混合に完熟堆肥を目分量で1~2割混合したものです。
鉢は根の量に応じて変えています。
一般種の最も大きな株は、21cmポット、小葉種は9~12cmポットです。
その後、しばらく約50%遮光の寒冷紗で遮光していて、2週間程度経過したので遮光を解除したところです。
葉がかりかりになっていなければ活着したと判断出来ますが、小葉種の一部は枯らしたかもしれません。今後は日当たりの良い場所へ移動して、芽の動きを見て施肥になります。
2014年5月10日 活着後
解説:かなり大きくなってからの鉢上げで、育苗箱から抜いた際、根から土が完全に落ちてしまった株もあったことから、通常より遮光下での管理を長く取ったのですが、状態にばらつきはあるものの、落ち着いてきました。
(1)は最も順調な株で下葉をあまり落としていない。(2)株元は新芽が幾つも伸び始めている。この状態なら、今後何もしなくても良く生育します。
(3)は下葉の変色した株です。この変色が新芽まで達してしまうと期待が持てませんが、この状態なら今後生育する。(3)は後に葉を落として(4)の様になる。
(5)何が悪かったかと言えば、鉢上げ後水切れになったかもしれません。こうなると後は土に帰るだけです。残念!
現在の管理は、ハウス内日向で水やりのみです。これから施肥になります。
2014年8月2日 夏、生育旺盛期になって。
2014年10月14日 秋、生育期終盤
2017年5月15日 初めてのつぼみ
解説:(1)写真は小葉種の現在の様子です。茎の長さは数十センチと短いですが、芽先から少し下に丸い(正確にはギボウシ状の)つぼみが生成されていました。(円内)
(2)今までの経験でかなり茎が伸びて、株元が幹状にならないと花芽を付けないと思っていましたが、発見した時点でかなり大きくなっていました。
このユーカリは前年の秋に花芽が確認出来るので翌年開花するのか分かるのですが、それさえ見逃していました。
これで近い将来花が楽しめそうです。
(3)花芽は全部で3つ付いていて、枝先のものはまだ小さいです。
ちなみに一般種の方は全く花芽はありませんので写真は撮っていません。
現在の管理は、ハウス内日向に置いていて、土の表面が乾いたら水を与えています。病害虫発生はありません。