大根の栽培 2009年9月~
地植え栽培
このページでは青首大根の露地栽培を取り上げています。最近家庭菜園として遊休農地を借りて栽培する方が増えてきています。先月からちょうど蒔き時になった大根の上手な育て方を取り上げます。今播けば寒さの来る頃までには収穫でき、品質の良い大根が収穫できます。大根はそれほど手が掛からないため、是非取り入れたい品目です。
解説:(1)土作りは下記参照。市販の黒色ポリマルチで幅約75cmの畝を作ってある。
(2)マルチ穴明け器を使用し、条間(写真に向かって左右の穴の間隔)40cm、株間:27cmの穴を千鳥に明ける。
(3)大根の品種は青首大根の代表的品種「耐病総太り」。これを選んだ理由は種子の品質が良い。育てやすい、収穫した大根の品質が良い、揃う等から。
(4)種子は他の大根より大きい。写真左が「耐病総太り」で右は他品種。小袋で180粒くらい入っているので、家庭菜園でも十分な数である。
(5)種は一カ所当たり一粒だけ播く。一般的には一カ所当たり4~5粒播いて後で間引きを行います。これを一粒にした理由は、・・・
・種子の品質が良く、発芽率が高いこと。信頼の置けない種苗メーカーの種子は良く選別されておらず秕やくずが混入していて結果が悪いことがある。よって数粒播かなければ出てこない箇所があるから。
・F1品種ということもあり、種子によってその後の生育にばらつきが少ないこと。よって、複数播いて競わせなくても良く育つと言うこと。
・後で間引く手間が省けること。腰を下ろしての間引き作業は腰痛の原因にもなるので、なるべく避けたいところ。
・種子の節約になる。
(6)(7)蒔き方は穴の中央に指で押し込み(2cm位)、手で押さえて土と種を密着させる。これで播種終了。(8)(9)
(10)次に寒冷紗を掛ける。この理由は播いた種子を鳥に狙われることを防ぐため。後で水を掛けた際、土を掘り起こさないため。土の乾燥防止等。
(11)水を十分掛ける。時期的にまだ気温が高いため、土が乾きやすく発芽率を下げる原因になる。(12)畝全体に掛けて終了。4日くらい経過して発芽してきたら寒冷紗は取り除く。
※余った種子は翌年以降播けばよい。袋に記載の発芽検査年から数年は種子として播くことが出来る。
2009年9月3日・・・発芽
解説:(1)は1週間後で、ほぼ芽は出揃った。(2)この品種は種が大きいので双葉も大きい。わずかに芽の出なかった箇所がある。うまく吸水できなかったか、何らかの事情で発芽できなかった、発芽はしたものの害虫にやられた等と考える。
種子袋に記載の発芽率は85%以上で、今回の発芽率は96.6%なので非常に高い。害虫にやられた箇所は発芽率に含めていないので、実際には100%近い発芽率を見せる。これが種子の品質が良いことの根拠。
芽の出なかった箇所には改めて蒔き直せばよい。まだ播種適期の範囲なので十分収穫できる。
一カ所一粒蒔きなので、今後の作業は雑草取り中心の管理になる。追肥(液体肥料も含む)は基本的に行わない。水やりは播種時のみ行い、発芽後は行わない。
2009年9月12日・・・2週間後
解説:(1)(2)播種から2週間が経過しました。高温時期の種蒔きであるため、初期生育が早い。すでに本葉の5~6枚目が出始めている。
(3)発芽しなかった箇所には追い播きをし、それが発芽している。大きさに差が出てしまったが、収穫時期をずらすことで、十分大きな大根が収穫できる。
(4)円内は青虫。気温の高い時期は狙われやすい。この様な虫が付いた場合は手で取って駆除する。モンシロチョウが飛んでいる間は狙われやすいがキャベツほど神経質にならなくても大丈夫。
(5)は茎が濃い緑色になる青長大根。(6)は形状は蕪と同じ様に丸くなり、内部が赤くなる紅心大根。何れも9月の第一週に播いたもの。両品種共におろしや加工して利用する。
これらの品種は畝幅は(1)と同じで、25cm間隔の3条(画面に向かって中央の穴から左右の穴の間隔が25cm)、株間25cmの千鳥状に8cm位の穴を明け、一カ所当たり二粒種子を播いていて、早いものが発芽してきたところ。
これらの種子は耐病総太りほど高品質ではないので、二つ播いて、後で間引き一カ所一本にする。
2009年9月19日 播種後3週間
2009年9月30日 播種後約1ヶ月
2009年10月11日 播種後43日、約6週後
2009年11月1日 播種後66日、約2ヶ月後
解説:(1)今年は播種後しばらく晴天が続いたため、例年より初期生育が遅れ気味で、更に追い打ちを掛けるように低温傾向だったため、寒さが来る前に大きくなるだろうかと心配させましたが、台風のおかげでまとまった雨が降り草勢を取り戻しつつあります。
(2)だいぶ地上部に茎が立ち上がりうっすらと緑色を帯びて、スーパーで売っている大根に近づいてきた。それでもまだ若干細い。収穫は今月中旬以降の予定。当地方ではそれ以上待っても冷え込みが厳しくなるため生育は期待出来ない。
(3)(4)青長大根も茎が立ち上がっている。青長大根より小さいが茎の緑色が濃くなってきた。
(4)(5)紅心大根は根が蕪と同じ様に球状になっている。両種共に収穫はもう少し先。
2009年11月13日 播種後78日、約2ヶ月半後
2009年12月05日 播種後100日後
解説:(1)秋はちょっと忙しかったので12月に入って収穫しました。両手で茎を持って引き抜き、葉は包丁で切り落としてあります。(2)大体すらっとした大根ですが、中には又根や短いものもある。
大根は冬期間長期保存が利くので重宝する。(3)~(6)保存方法は溝を掘り埋めれば良い。当地方は寒冷地のため、ビニールハウス内で行っている。それでも厳寒期は凍結の恐れがあるため、土を厚くかけるか、更にこの上に保温資材をかけるか、何らかの方法で加温しなければ傷むことがある。これで2月一杯位は持つ。3月に入ると葉が伸びてきて後に白い花を咲かせる。
(7)青長大根は茎、根部の3/4~2/3位が緑色になる。内部も同様でおろしにすると鮮やかな緑色になる。この部分は甘味があって食味はよい。根部の白色箇所は辛みが多くなる。/p>
(8)(9)紅心大根は蕪を赤く染めたような感じ。おろしにすると普通の大根に赤ワインをしみこませたような色合いになる。このおろしはきめが細かく非常になめらかである。この大根は根部に白色箇所が無いため、そのほとんどが同じ様な食味を楽しめる。
2010年3月07日 保存した大根のその後
解説:本格的な寒さが来る前に土中に埋めてから、現在に至るまで少しずつ利用してきましたが、その後どうなったかをご紹介します。
(1)は青首大根。収穫後から大きな変化はない。特にこの冬は暖冬だったので、寒さではほとんど傷んでいない。食味も変わらず甘味が強くおいしい。
(2)は青長大根と紅心大根。こちらは初夏の様な陽気の影響で芽が伸び始めた。
こうなると大根としては食味が低下する。それでもいただけないことはない。
この後更に気温が上昇すると青首大根も芽を伸ばし白い花を咲かせます。もうこうなっては食用には向かない。よって当地方ではおいしくいただけるのは今の時期までです。4月に入れば春大根の播種が始まります。