プロテアの実生
2012年7月1日~
このページではプロテアの播種から開花までを掲載予定です。
ストレリチアを栽培していると原産国南アフリカに興味を持つようになり、その後他にはどの様な植物があるのだろうかと期待が大きくなります。すると、花のきれいな植物が多いことに気が付きます。その代表的なものとしてプロテアがあります。最近ではオーストラリアから輸入されることから目にする機会は多い。鉢物としては出回ることが少ない大きなピンク色の花を付ける植物の種子からの栽培を取り上げます。
解説:(1)はシナロイデス(cynaroides)の種子、(2)はマグニフィカ(magunifica)の種子です。シナロイデスの方は細長い種子の周囲に黒く短い毛が生えていて、まるで毛針の様です。それに対しマグニフィカの方は形がフリージア等の小球根の様です。
同じ種類であっても形態が異なり興味深い。
(2)鉢はセルトレーを使用した。トレーの大きさは1辺が39mm、深さ45mmで一つに36穴。用土は無肥培土(無肥料粘質土小粒)に完熟堆肥を数%混合したもの。数%とは1割より少ないです。用土に所々黒い粒が見えるのが堆肥です。
撒き深さは種子が完全に隠れる程度です。極端に浅くもなく深くもないと言ったところです。播種は5月27日頃です。
播種後1回鉢土全体が湿る程度水を与え、その後は土の表面が乾いた時点で同様に与えていた。
(4)6月末になってシナロイデスの発芽が始まりました。薄い緑色の芽が出てくるのですぐにそれだと分かります。(6)その後双葉を展開します。
(6)他のトレーでも地割れが見られるようになったので、発芽が近いと期待したい。
※
2012年8月1日 発芽増える。
解説:7月に入ってから比較的高温傾向になったため、電熱線による加温はやめました。
これまでにぽつぽつの発芽してきましたが、水やり過多で枯らしたものもあります。それで苗の総数はそれほど増えていません。
今でも発芽してくるものもあるので、今後冬になるまでにはまとまった数になるかどうかと言ったところです。
それにしても発芽率は低く、困ったものです。私が専門でやっているストレリチアも発芽率は低い方ですが、それでも撒いた種子数の半分の苗は得られるので、計算が出来るのですが、プロテアだけは何度やっても本当に生きているのかの思わせる様な結果です。
とりあえず今は発芽した苗を枯らさない様に気を使っています。
現在の管理は、土の表面が乾いてから更に一呼吸待って水を与えている様な感じです。置き場所はビニールハウス内です。
2012年9月1日 発芽増える?。
2012年10月14日 発芽増える!!
2012年11月1日 更に発芽増える!!
2012年12月1日 収容。
解説:(1)11月下旬までに加温ハウスへ移動させました。発芽直後の苗が多かったので神経を使いました。
秋の発芽は春から夏より多くトレーを上から見てみると結構出てきていることが確認出来る様になりました。
この分だとストレリチアに近い発芽率になるかもしれません。
現在は数日に1回程度氷点下に冷え込みになり、さすがにこの時期の発芽は見られなくなりました。すでに発芽したものは動きはほぼ止まっています。
なよっとして、寒さでやられてしまったのかと思わせても、土が乾いていて水を与えた後には生気を取り戻すので生きていることを実感させられる様な状態です。
尚、マグニフィカは種子が腐っていたので水やり管理が悪かったのかもしれません。種子そのものが悪かったのかどうかは分かりません。
現在の管理は土が良く乾いた時点で水を与えています。病害虫発生はありません。
2013年1月1日 冷え込み強まって。
解説:この冬は12月から寒さが厳しくなって小さな実生苗が無事越冬するだろうかと心配させましたが、今のところ何とか持ちこたえています。
それでも毎日氷点下の冷え込みが続くようになってからは、新たな発芽は見られない。初冬に発芽してきたものは、双葉が展開しない状態で固まっています。
たまに観察していると、しなっとしている苗があって、寒さでやられたと思いつつ、乾いた土に水を与えて後で見てみるとしゃきっとしているので、単に水切れだったと思わせます。
ハウス内なので、結露した水分が滴り落ちてくるのですが、その水分過多によって枯死したものは今のところ見られない。その理由の一つは気が付いた時点で、水滴が落ちないと思われる場所へ移動させていることもあります。
現在の管理は土の表面が完全に乾いているセルに水を与えています。夏場のようにトレー全体が一様に乾かないので、神経を使っています。
2013年2月1日 大寒を過ぎて。
解説:植物にとって最も弱い時期は、発芽してからある程度の大きさに育つまでと言うのがこの世界の常識ですが、このプロテアの場合今のところそれを感じさせない。
温度的には暖房機で加温しているので問題はありません。最も心配していたことは冬至前後の低日照と夜間の多湿による腐敗やカビの発生でした。
もちろん水やりは乾かし気味にしていたので多発は無いと見ていました。
結果的には全く枯死は無く、水切れによる枯死を心配させたほどでした。先月記載した通り双葉がしなっとした時点でも水を与えれば回復するのでそれも無かったというのが現状です。この強さは雑草的です。
結論としてはストレリチアと同じ原産地なので、このハウスでも何とかなったのかもしれません。ただし、未発芽の種子はネズミに食べられましたけど・・・。
2013年3月1日 啓蟄近づく。
2014年3月16日 植え替え後。
解説:(1)前回更新から一年が経過しました。結局昨年は植え替えられずに過ぎてしまいました。それでもそれなりに育って、冬でも水やりが忙しくなってきたため植え替えました。今は9cmポットに植わっています。
水やりが忙しいとは、実際に水切れで枯らした苗も出てきたので、限界と判断しました。
(2)苗は昨年よりいくらか大きくなっています。以前は目を凝らさなければどこに生えているのか分からなかったものが、現在は、その存在と種類の判別が付く様になりましたから・・・。
株元は、以前は弱々しかったものが、今は幹っぽくなっていることに気が付きました。一般的な植物は冬季は良くて現状維持に対し、このプロテアは冬でも生気を感じさせます。何となく育っている様な・・・。植え替えたことで今年は今までよりは旺盛に育ってくれることでしょう。
2014年5月10日 活着後
2014年8月2日 生育期
2014年10月14日生育期
2016年4月29日生育期
2016年10月1日 充実期
解説:(1)春に植え替えてから芽の伸びが緩慢だったので心配していましたが、状態は良さそうです。
葉色が濃く見えるのは、用土の混ぜた堆肥の養分を吸収したか、周囲に置いてあるストレリチアに与えた肥料が水やりで流れ出してそれを吸収したと考えます。
(2)現在多くの株は生育は止まっています。その中で茎が太く大きな芽を付けた株が1つあり、期待を持たせます。
(3)樹高は高くありませんが、株元は太くなっています。それは盆栽の様です。
各株の生育、性質は安定していて、この春植え替えてからは1株も枯らしていません。
現在の管理は1~2日に1回、土の表面が乾いた時点で水を与えています。病害虫発生、根腐れ等はありません。
2018年10月以降 花芽~開花
解説:(1)秋になったら成長の止まっていた枝先に丸みを持った芽が形成されていた。これが花芽。(10月27日)
(2)落葉樹なら花芽の状態で越冬するのが、このプロテアは冬でも芽に動きが感じられた。(12月1日)、花芽が膨らんでピンクっぽくなってきた。
(3)春になって花芽の動きが早くなった。それでもまだ蕾状態。('19年4月27日)
(4)5月に入って開花が始まった。
(5)開くとこんな感じ。直径30cmは無かったものの、大きくて見栄えがする花。
(6)(5)は色が薄いが、他には少し色の濃い花もあった。
振り返ってみて、開花まで時間が掛かったのは、植え替えをさぼったから。早く開花させるには、播種後、毎年植え替えた方が良い。
環境面では、日当たりが良い事が絶対条件。
ストレリチアほど乾燥には耐えないものの、病害虫は無く、育てやすい。
ちなみに、播種から開花まで一度も肥料を与えていません。