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極楽鳥花植物園 Strelitzia Botanical Garden

園長のガーデニング・サトウキビ このページでは園長による趣味のガーデニングを取り上げています。

サトウキビの栽培 2010年5月1日~

地植え栽培

(1)定植苗

(2)溝を掘る

(3)苗を置く

(4)土をかける

(5)終了

(6)茎

このページではサトウキビの地植え栽培の様子を取り上げています。

サトウキビと言うと、昭和の流行歌「さとうきび畑」が頭に浮かびます。最近では旅番組やグルメ番組等でタレントが切り取った茎をかじる姿をよく見かけます。産地が南の方なので暖かくないと育たないと思われていますが、実際には非常に丈夫な植物で、みるみる大きく育ちます。

趣味の栽培では「ざわわ、ざわわ・・・」とまでは行かないまでも、「ざわ」くらいには育ちますので、家庭以外に学校教材としてもお勧めです。下記にその様子を紹介する。

    共通の管理
  • 栽培適地:無霜地帯では路地。それ以外外ではハウス内で日照条件の良い場所。冬期間氷点下に冷え込む地帯では、高さが3m以上ある加温ハウスが必要になる。
  • 温度条件:夏場は自然条件。冬期間はハウス内で0℃以上。
  • 土壌:大体何でも可。畑作の後であれば特別土壌改良は必要無い。水はけが悪い、地下水位が高い場所でも可。十分水分があった方が良く育つ。
  • 肥料:何か栽培した後であれば、元肥無しで植えて後で追肥を考える。
  • 苗:購入先は園芸会社、大きな園芸店等。形態は茎を数節付けて切ったもの。(1)は自家採取のもの。市販品には芽は出ていない。他にはポット養成苗もある。ここでは茎を切ったものを苗と呼ぶことにする。
  • 定植:時期は苗と定植地の準備が出来たら。方法は(2)~(5)苗が植わるように溝を深さ5~10cm掘り、苗を置いて土をかければ終了。根が出て活着するまでは、土が極端に乾かない方が良い。
  • 病害虫:後で紹介。
  • その他作業:雑草取り。
  • 収穫:来春。(6)の様な茎が形成されて、皮をむくと白い組織が現れる。これを味わうことを目標とする。

2010年5月16日

芽の様子

解説:芽が地表に姿を現した。最初から芽の出た苗を植えたにもかかわらず、動きが遅かったのは低温傾向だった影響かもしれません。一旦根付いて生育を始めるまでは大きな変化は無い。

地植えで、地表には藁のマルチングを施してある。水は土が湿っているので与えていない。当然肥料も与えていない。

2010年6月1日

芽の様子

解説:写真手前と奥の小さいものが芽。この株は生育初期には葉の縁に斑が入る。手前の芽はその特徴が現れている。

涼しい気温で推移してきた影響で生育はそれほど進んでいない。

今のところ肥料は与えていない。

2010年7月1日 生育進む

(1)全体の様子

(2)芽の様子

(3)芽先の様子

(4)斑入り

解説:(1)梅雨入り以降高温とまとまった雨で芽の動きが速くなってきた。

(2)この苗(茎)からは4本の芽が出てきている。(3)まだ小さいのでススキや、ヒエ等の雑草に見える。

(4)この苗は斑入りの芽も発生してくる。葉の中央、又は葉の縁に白い斑が入る。濃い緑色の葉に白い斑が入ると見栄えがする。

管理面では地植えのため、水やりは行っていない。また、肥料も与えていない。今後生育状況を見て与えるか決める。

2010年7月14日 生育進む

(1)全体の様子

(2)芽先の様子

(3)斑入り

解説:(1)生育は順調です。丈が大きくなり、葉幅も広がってきた。写真右側の水たまりはこのところまとまって降った雨の影響で地下水位が上がったものです。

サトウキビは丈夫な性質なので、これで根腐れを起こすことはありません。

2010年8月1日 生育進む

(1)全体の様子

(2)害虫被害

(3)芽先の様子

(4)株元

解説:このところの高温傾向と、十分な土壌水分で、生育は旺盛です。先月発酵鶏糞を株の周りに4握り程施しました。

(2)それでいい気になっていたら、茎に虫が付いて何と言うことか・・・。

これはよくトウモロコシに付くアワノメイガと思われます。

2010年9月1日 生育進む

(1)全体の様子

(2)害虫被害

(3)斑入りの様子

(4)白斑

解説:(1)猛暑の影響もあって生育は良く、草丈は私の身長を軽く超えて250cm位になりました。

(2)害虫被害は相変わらずで葉に虫食い跡が見られます。例年であればこれほどやられることは無かったのですが。

2010年10月1日 生育進む

(1)全体の様子

(2)芽先の様子

(3)白斑のその後

解説:(1)(2)先月までの残暑はサトウキビを育てるには好条件でした。冬期間ハウス内に広げるカーテンの上まで伸びている。

(3)白斑の芽は光合成で十分なデンプンが合成できないので枯れてしまった。また、葉の縁に入っていた白斑も出たときはきれいだが、後に枯れやすい。

全体的に害虫の被害には遭ったものの、大きな影響は受けなかった。

2010年11月1日 生育進む

(1)全体の様子

(2)株元の様子

(3)茎の様子

(4)害虫被害

解説:(1)気温は低下してきていますが、成長は続いています。一番大きなものは3m位には達しています。

(3)(4)今年は害虫の被害が目立ちます。以前にも記載しましたが、トウモロコシに付くアワノメイガだと思います。

あまり育っていない茎はその影響と見られます。それでも感心させられることは、トウモロコシであれば被害がひどくなれば木(草体)そのものが枯れてしまう。しかし、サトウキビはそこまで行かずに耐えていることです。

管理面では涼しくなってからは肥料と水は与えなくなりました。今後は更に冷え込むようになった時点でハウスは締め切って、加温を始めます。

2010年12月1日 生育鈍化

(1)全体の様子

(2)凍害

(3)健全な葉

解説:(1)最低気温が氷点下になる様になって生育も鈍ってきました。(2)中には凍害を受けた株もあります。しかし、サトウキビは丈夫な植物なので、少々の寒さでは株全体が枯れてしまうことがありません。

冬期間は氷点下の寒さに遭わせない様にすれば、少しずつ生育し来春には収穫できる見込みです。

2011年1月1日 生育停滞

(1)全体の様子

(2)凍害

解説:(1)一部株元をネズミにかじられたか、茎が倒れています。下葉が枯れているものもありますが、残っている葉は健全なので冬期間でも充実します。

(2)は氷点下の寒さに遭ったものです。ススキの様に枯れてしまう。サトウキビは0℃までは大丈夫ですが、それ以下にはならない様にしなければ糖度の乗った茎の収穫は難しい。

2011年2月1日 生育停滞

(1)全体の様子

(2)株元

(3)固定

(4)収穫した茎

(5)皮を剥く

(6)茎の基部

解説:(1)寒さの影響を受けて葉枯れが目立ちますが、ゆっくり生育は続けていて茎も充実し続けている。(2)中には株元で倒れてしまうものもある。

(3)それで茎の長くなったものをロープで固定してあります。(4)この季節に食べても甘さは期待できないと思いつつ、試しに味見することにした。((2)で倒れていたものです。)

(5)茎の基の方はすでに硬化していて竹の様になっている。それで表皮を剥いた。堅いけれど、カッターでも剥くことが出来る。

(6)は茎の皮を剥いたところで内部の色は白い。肝心の味の方は、予想していたより甘かった。何より茎を咥えて折るときに、「バリバリッ」と言った音と振動は、軟弱なスナック菓子では得られない、脳を刺激するような感覚がある。

そして噛む瞬間、堅い繊維がつぶれる様な食感と同時に甘い汁がじゅわっと染み出す。この感覚は他の植物では味わったことのないものである。

咀嚼の際「甘い」以外に独特の香りが広がるのだが、最初は「懐かしい感じ」なのだが、数秒後「!!」という感じになる。それは、そう、まさに黒砂糖の香りそのものだったからである。

まあ、考えてみれば当然と言えば当然なのだが、生のサトウキビの味は黒砂糖を水で溶かした様な感じなのだ。以上の事を総合的に見て、サトウキビは「楽しい味」と言えます。

生育が旺盛で単年度で収穫できることや、子供は甘いものが好きなこと、砂糖がどのようにして出来るのかを勉強する機会を与える事も含めて、もし、学校等で栽培条件が揃っているならば教材に適していると考えます。

今回は早く収穫したので、それほど甘みは強くありませんが、もう少し置いておけば糖度が増す。

2012年5月1日 春になって

(1)全体の様子

(2)茎頂部

(3)脇芽

(4)収穫した茎

(5)株元

解説:昨年2月以降、現在に至るまで色々実験を行って来たことを報告します。

(1)~(4)まず、冬の間背の高くなった茎をどうするかですが、昨年秋先端部を折ってみました。それでかろうじてハウスの加温範囲に収めたわけですが、何とか越冬しました。

(2)(3)季節が進んだので、その折った茎頂部や各節からは芽が伸び始めています。本当はこの前に収穫したかったのですが、忙しかった訳です。この様な茎は適当に切って今年の苗にすれば間違いなく育ちます。

肝心の食味の方は、茎頂部を折らないでおいた方が甘みが乗ります。それは茎を折った方は葉が徐々に枯れ上がってしまったためと思われます。しかし、春まで置いておいたことで、それなりには甘くなっています。

以上のことから、長く伸びた茎は折らないで斜めに傾けて越冬させれば良いと考えます。ただし、あまり力を加えすぎると株元で折れるので要注意です。

(5)それと寒冷地では良く育たないのではと思われがちですが、その様なことは無く、収穫した茎はずっしりと重く堅く充実している事を伺わせる。ちなみに株元の直径は4cmに及び、かろうじて生きているとは思えない。これは特別な品種ではありません。

2012年6月1日 サトウキビの楽しみ方

(1)一節

(2)水に浸ける

(3)新芽

(4)発根

(5)芽の様子

(6)発根の様子

サトウキビと言うと南方系の畑作物の印象が強いですが、実際には全く異なった育て方が出来る丈夫な植物です。下記に紹介する。

解説:(1)は充実した茎を一節ずつ切ったもの。(2)これを水に浸けて日の当たる所に置いておきます。(3)(4)水温が上昇してくると発根し、芽も伸ばし始める。

(5)(6)更に時間が経つと育ち始めます。この時茎は完全に水没していても腐ることなく芽を動かします。今後また更新します。

2012年6月15日 生育進む

(1)新芽

(2)糖を求めて

解説:(1)梅雨に入って暑いと感じるほど気温が上昇してきました。これからがサトウキビが最も良く生育する季節です。

水に浸けた茎の節からは笹の様な芽が伸びています。それと同時に根も伸ばしている。

(2)サトウキビは沖縄県やブラジル等、年中暑い地域のものと言った印象が強いので、寒冷地産サトウキビは糖度が低いと思われるかもしれません。しかし、悪くはないと言うことを何とか証明したくて、出来れば糖度計で計れたら良いなと思っていたら、蟻が手っ取り早い演出をしてくれました。

茎を水に浸けておくと端面はカビが生えて黒く変色してしまいますが、ご覧の通り右側の茎は白いままです。

これは蟻がかじり取って巣に運んでいるからです。しかも大きいものと小さいものの2種類も来ています。しかし、良く水に浸けてあるものを見つけたものだと思わせます。虫が知らせたか・・・。

夏場よく砂糖を蟻が運んでいく姿を見かけますが、このことから蟻を引きつけるほどの糖度だということが言えます。ありのーままの ・ ・ ・すがた・・みせるのよ・・・ ?!。

2012年8月1日 生育進む

(1)全体の様子

(2)株元の様子

(3)新芽の様子

(4)別株

(5)株元

解説:(1)初夏に水に浸けておいた苗の様子です。葉はススキの様に伸びています。(2)地上部はそれほど大きくはありませんが、根は良く伸びていてこのままいったら発砲スチロールの箱に穴を空けそうな勢いです。

(3)水に漬いていない節からも芽と根は伸びています。

(4)はメダカ飼育の発砲スチロール箱です。こちらの方が大きく育っています。ここへ置いた目的は水中の余分な養分を吸収させることです。

(5)この箱は元々水質が安定しているので、どれほどの養分を吸収したかは分かりませんが、良く育ってることは確かです。それで根の発達も著しく、たまにメダカの卵がくっついていることもあります。

2016年3月27日 斑入りのその後

(1)草姿

(2)芽先

解説:(1)以前は植え付け後、生育初期段階までしか斑入りになりませんでしたが、今期は長く伸びた芽先まで斑入りになりました。

(2)斑の入り方は覆輪で、主脈近くは緑色でその外側が白い斑となります。ドラセナやクンシラン、その他観葉植物等でよく見られるタイプです。

性質的には基本的には青葉と変わりません。

葉の所々茶色になっているのは寒さの影響を受けたからですが、これは青葉でも同様です。

これだけきれいに斑入りになれば、観葉植物としても面白い。

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