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極楽鳥花植物園 Strelitzia Botanical Garden

サラセニアの実生このページでは園長による趣味のガーデニングを取り上げています。

サラセニアの実生 2010年2月1日~

鉢植え栽培

(1)種子の様子

(2)播いた様子

(3)鉢の様子

このページではサラセニアの播種から小苗までの様子を取り上げています。ウイルス病や予期せぬ枯死で数が減ってきたので、増やそうと思います。今回は最も一般的な実生を行います。

解説:(1)昨年花が咲いたとき受粉し、秋に収穫、保存しておいた種子。

(2)一カ所に固まらないように播く。白っぽい粒が種子。

(3)種子が乾かないように腰水とした。

  • 種子の入手:通販、又は自家採取。通販は信用のおける相手から入手することが重要になる。秕やくずが混ざったものを平気で売っているところもあるので要注意。品数が多いところが必ずしも良いとは限らない。ちなみに(1)の種子はレウコフィラの自家採取。
  • 前処理:行わない。一般的には冷凍庫で凍結させたり、洗剤やジベレリンで処理する方法が行われているが、ここでは自然に任せることにした。また、種子消毒も行っていません。
  • 撒き方:用土表面にぱらぱらと播き、上から種子が隠れる程度覆土する。極端に深撒きにならないようにする。
    共通の管理
  • 置き場:日向。この場所は無加温ハウス内。日照条件はあまり良くなく、朝から夕方まで十分日が当たらない。
  • 温度:自然条件。当地方では3月一杯くらいは氷点下の冷え込みが続く。
  • 水やり:乾かさないように腰水とした。
  • 肥料:与えない。
  • 鉢:大体何でも可。(3)はプラ鉢。
  • 土:pH無調整ピートモス単用。水苔でも可。
  • 病害虫:しばらく心配無い。

2010年5月12日 発芽始まる。

芽の様子

解説:先月掲載しなかったので、失敗したと思われた方もいたことでしょう。今年は春が寒かったので、発芽も遅くようやく最初の一つが双葉を出したところです。(矢印)周囲の粒々は種子です。

今後気温が上昇して安定すれば、続々と発芽してくると予想されます。

2010年6月11日 生育進む。

(1)全体の様子

(2)芽の様子

解説:(1)気温が上昇して安定してきたこともあり、発芽が多くなり、生育も良くなってきた。

(2)初期に発芽したものは本葉が1枚出ている。しばらくはこの状態で管理し、本葉が3枚位になったら鉢上げする。

2010年8月1日 葉数増える。

全体の様子

芽の様子

解説:全体の発芽数はそれほど変わっていません。初期に発芽したものは葉数が増えて3枚前後になっています。

この苗はレウコフィラ同士の交配種子からの実生です。それで小さいながらも直立した、細長い逆円錐形の葉を展開している。

多くの苗の葉数が3枚以上になったら鉢上げする予定。管理面では腰水栽培で肥料は与えない。病害虫の心配は今のところ無い。

2010年11月1日 生育進む。

(1)苗の様子

(2)種子の様子

解説:(1)予想より生育が良く、一株当たりの葉数が増えています。高さは3cm位です。朝は一桁台の冷え込みになってきたので、これ以上の生育は無いと見ています。

(2)ちなみにこちらは今年交配し収穫した種子の様子です。10月から少しずつ熟し始めてそろそろ終わりになりました。これらは今後ピートモスに播く予定です。

今年はこれで冬季休止になります。

2011年5月14日 生育始まる。

(1)全体の様子

(2)個々の様子

解説:5月になって生育が顕著になってきた。緑色の葉が今年伸びた葉で、赤色の葉が昨年伸びた葉。今年伸びてきた葉は昨年より丈と口径が大きくなっている。これ位であれば、蟻程の大きさであれば中に入るであろう。

本当は一株ずつ鉢上げするつもりでしたが、まだ行えずにいます。それでも草姿が細長いので混み合っているものの、日光不足ではない。

ちなみに冬期間は凍らない温度を保ったハウスで越冬させました。

2011年6月17日 生育進む。

(1)全体の様子

(2)個々の様子

(3)今年の実生苗

(4)発芽の様子

解説:(1)(2)こちらは小さいながら種の特徴が現れ始めています。緑一色のものがフラバで、葉脈が赤く網目模様のものがレウコフィラです。

(3)(4)は今年の実生苗で、大体出揃ったところです。播種に当たって種子をいろいろな薬剤で処理等は行っていません。収穫した種子をしばらく乾燥状態で保管してきたものを2月に播種。当初発芽してこなかったため、種子が悪かったかと思わせたが、実際には温度不足でした。

出ている芽は全てサラセニアの実生苗です。これだけの発芽であれば特別なことは必要無いと言えるでしょう。このことからサラセニアの実生で最も重要なことは種子の品質であることが良く分かります。

以前オーストラリアの業者からサラセニアの種子を購入したことがありますが、品質が悪くてゴミやしいながほとんどで1袋播いても1本も苗が得られなかった経験があります。オーストラリアの業者の全てが悪いと言うことは無いと思いますが、信用のおける業者から購入しなければならないと言うことを痛感させられます。

当時は自分の管理に問題があったと考えていましたが、自身で種子を播くようになってこのことに気が付いた次第です。

2011年8月1日 梅雨が明けて。

(1)全体の様子

(2)個々の様子

(3)今年の実生苗

解説:(1)(2)真夏の強い日差しを受けて葉脈や葉先が赤みを帯びているものもあります。葉数が増えて下葉が枯れ、それにカビが生え風通しが悪いことは一目瞭然です。

そろそろ限界かと思わせたその時、台風が通過して気温が下がり、管理に気を使わなくなった。

(3)葉数が増して直立してきています。状態は良く病害虫の発生も見られません。これはこのまま育てて来春鉢上げを行う予定です。

両方共に腰水栽培で水やりの手間を省いています。

2011年9月16日 鉢上げ。

(1)全体の様子

(2)葉先の様子

(3)根の様子

(4)直立系

(5)プルプレア

(6)鉢(トレー)

(7)用土

(8)位置確認

(9)用土を入れる

(10)終了

(11)直立系

(12)プルプレア他

解説:(1)本当は春に行わなければならなかった鉢上げを行いました。ちょうど半年遅れです。それで葉の間隔は首都圏の通勤列車並ですが、幸いなことにかびが生えたり、害虫被害等はありませんでした。

(2)先月まで曖昧だった模様がはっきりとレウコフィラと分かるようになった。

(3)鉢から抜いてみると白い根が良く伸びていることが分かります。腰水栽培は水に不自由しないので、根の発達が少ないかと思いきや結構長く伸びていました。

(4)直立系ではその他にフラバが育っています。(5)こちらはプルプレア。どこかに播いておいたのが、行方不明になってしまったかと思っていたら、これに一緒に播いてあったのです。失礼しました。何れも私自身が交配したものです。他の種類との交配ではなく、同じ種類同士で種子を採ったので、後からでも分けられると同じ鉢にまとめて播いていたんです。

(6)鉢は、苗がまだ小さいのでトレーを使うことにしました。「セルトレー」だとか「プラグトレー」の名でいろいろな大きさのものが市販されています。このトレーは一辺が30~40(mm)位のものです。(7)用土はいつものピートモスです。一晩水に浸けてあります。

(8)~(10)植え方はとりあえず苗の位置を決めて周りに用土を詰め込んだ。もっと手っ取り早い方法としては、先にトレーに用土を隙間無く入れてから、細い棒で下穴を空けて根を入れて、高さを調整して用土を押さえて根と密着させると良い。(用土の空洞をなくす。)

(11)は直立系の中で大きいものを選抜して植えた。他の植物でもそうですが、大体同じ大きさのもの同士を一緒に育てることが重要です。大小混合では大きなものはどんどん大きくなって、小さなものは小さなままで、生育差がどんどん大きくなってしまうことが多いからです。

(12)は写真奥がプルプレアで、手前が直立系の小さなもの。数は合計で100ありました。よくこの狭い範囲で育っていたものです。それでもさすがにプルプレアは日照条件が悪かったらしく草姿は小さく根の伸びが悪かった。それで鉢上げ後、どこに植わっているのかよく分からない様な状況です。

この後風当たりと日差しの弱い場所へ置いて水をかけて用土を落ち着かせた。寒さが来る前に少しでも育ってくれれば良いのですが・・・。

尚、播種からここまでの間で殺虫剤や殺菌剤等は使用しておりません。

2011年10月1日 秋になって。

(1)直立系

(2)プルプレア

(3)今年の苗

(4)葉先の様子

解説:(1)(2)日が傾いてから植え替えたことで、葉焼けは起こしていません。水やりは晴れた日は毎日1回与えています。それで活着しました。

真夏ほどは旺盛に育っていませんが、まだ新芽が伸びてきています。当地方では今月一杯が生育期です。

(3)夏場の悪天候でカビが生えて心配させましたが、最もひどい個体でも葉枯れだけで済み、新芽が伸び始めてきています。(4)草丈はまだ数cmですが、すでにフラバと分かるようになってきています。

先月鉢上げを行ってほっとしていたのもつかの間、こちらも何とかしなければ・・・。

2012年5月11日 初夏になって。

(1)直立系

(2)プルプレア

解説:冬期間最低気温が0℃位に設定した加温ハウス内で越冬させて、春になって新芽が伸び始めたところです。

各苗共にほとんど枯らさないで春を迎えました。トレーは一つの容積が小さいため乾きやすい。完全に乾かしてしまうと枯らすので、冬でも気が付いたときは水を与えていました。

冬の低日照、低温、高湿度の環境でもカビも生えることなく、腐ることなく越冬したことには感心させられます。

2012年9月1日 季節は進んで。

(1)3年目苗

(2)プルプレア

(3)直立系

(4)個々の様子

解説:(1)(2)今年は晴天が続いていたのでプルプレアの方はもう少し大きくなって捕虫葉が付くと思っていましたが、今年はそこまでは行かない様です。とりあえず今年はこのまま育てて来年は植え替えます。

(3)(4)こちらはまあ順調です。レウコフィラは気温が高くなってきてから調子が良くなることは苗でも同様です。

現在の管理は日に1回の水やりと雑草取りです。尚、病害虫発生はありません。

2012年11月1日 生育期終わる。

(1)プルプレア

(2)個々の様子

(3)直立系

(4)レウコフィラ

(5)葉の上部

解説:(1)(2)10月に入ってから気温が10℃を下回る日が多くなってきてプルプレアは紅葉しました。この時期になると成長はほぼ止まっています。生育差が大きくなってしまったので来年以降調整したいと考えています。

(3)(4)(5)レウコフィラは丈は大きくないものの口の大きな葉を出して秋を迎えています。葉先の枯れているものは中に蛾が入っていてそこから上部が腐って枯れています。

現在の管理は数日に1回水を与えています。置き場所は先月と同じ。日が傾いたので日照時間は少なくなっています。

2013年9月1日 播種実験結果

プルプレア実生苗

解説:この苗はプルプレアの自家採取種子を初夏に播いた結果です。各苗共に本葉が数枚展開しています。

この実験は何を目的に行ったのかと言いますと、発芽するときに氷点下の低温に遭う必要があるのかです。

以前から種子の処理が必要なのか、気になっていたので、今回暖かくなってから播いてみたものです。

播種時期は八重桜が咲いた頃だったので遅霜の心配も無い頃です。尚、種子の前処理は行っていません。昨年収穫してから室内で乾燥保存してきたものです。よって、今回の種子は氷点下の低温には遭っていません。

用土はピートモス100%、播種方法は一般的な植物と同様です。以降、常に湿っている状態を維持した。

結果は「問題無く発芽した。!!」です。

このことや今までの経験でこのページに記載の種類に関しては種子に特別な処理は必要無いと考えます。最も重要なことは充実した良い種子であることと、播種後、十分な水分があれば発芽することが分かっています。

もし、発芽率が悪いなら、それは播種方法ではなく種子そのものに問題があると考えています。

2014年3月16日 植え替え後

(1)フラバ

(2)レウコフィラ

(3)プルプレア

解説:昨年は気が回らなくて植え替えも出来なかったので、今年は寒いうちに植え替えました。

今まではトレーに植えてあったものを9cmポットに植え替えました。

(1)小さなトレー植えでもレウコフィラは生育旺盛で小さいながら、捕虫葉を付けていて、冬の間に上側1/3程度は枯れ込みました。本格的な生育期に入る前に植え替えられたことで、今年は立派に育つことが期待されます。

(3)当方のプルプレアはベノーサではありませんが、冬季は赤色になります。

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