▲TOPへ戻る

極楽鳥花植物園 Strelitzia Botanical Garden

園長のガーデニング・コウホネ このページでは園長による趣味のガーデニングを取り上げています。

コウホネの栽培 2009年6月1日~

このページではコウホネの定植から開花、越冬等を取り上げています。

初夏に水辺を歩いていると水面に黄色い花が見られるようになり、「もうこんなに暖かくなったのか」と実感させられるものです。

同じ水生植物である蓮や睡蓮ほど派手さはありませんが、昔から日本に自生している馴染み深い水性植物で野趣に富む。本来は丈夫な植物ではありますが、難しい面もあり、以下に紹介する。

いわゆる普通のコウホネです。春に育ち始めてすぐに水上葉を展開する。最初の数枚は自生のため、縁がぎざぎざしている。

※写真は諏訪湖周辺に自生しているコウホネ。2012年5月29日撮影

コウホネ Nuphar japonicum

(1)草体の様子

(2)花の様子

(3)開花後

(4)水中葉

解説:写真は以前自生コウホネを採取してきたもの。自生地不明。諏訪湖ではありません。

容器栽培であまり肥料を与えていないため、大きく育っていない。太い根茎に水中葉、浮き葉、水上葉を付ける。

自然界では初夏から秋にかけて黄色い花を咲かせる。

紅コウホネ Nuphar japonicum Ver.rubotinctum

(1)草体の様子

(2)花の様子

(3)開花後

(4)水中葉

解説:コウホネの変種とされ、花が開花後赤色に変わることからこの名がある。

花以外でも水中葉も赤茶色になる。

コウホネより小型。水中葉、浮き葉、水上葉を展開する。一旦根付けば丈夫で根茎が良く伸びる。

姫コウホネ Nuphar subintegerrimum

(1)草体の様子

(2)花の様子

(3)水中葉

(4)別タイプ

(5)斑入り種

解説(1)~(3)コウホネよりかなり小型。花も小さい。葉は円形に近い楕円形に切り込みが入る。水中葉、浮き葉、水上葉を展開する。

しばらく購入した株数しか育っていなかったので(増えなかったので)最近は真面目に管理しています。

草体は小さいが性質は丈夫。大きくならないので家庭で育てるには向いている。容器は小さくて、水深も浅くて大丈夫。

※水中葉と浮き葉だけで、水上葉を出さないタイプもあります。(4)参照。(1)~(3)(5)は水上葉を出すタイプ。(5)は斑入り種。

    基本条件、共通の管理等
  • 自生地域:日本全国。アジア、アメリカ大陸、ヨーロッパ他。河川、湖沼で比較的水深のあるところが多い。
  • 栽培条件:日当たりの良い場所の池、水の漏れしない容器。多少日照条件が悪くてもそれなりに良く育つ。夏場は自然条件。冬場は水全体が凍っても枯れることはない。しかし、容器栽培の場合、凍結によって容器が壊れてしまうので、極端に凍らせない方が良い。
  • 入手先:熱帯魚店、園芸店、水生植物専門店、水草専門店、採取等。
  • 価格:一株数百円から数千円。種類と、地堀か鉢植えかで変わる。
  • 入手時の注意:園芸店で売られているポット植えや採取ものはまず間違いなく活着する。※下記、記事参照。要注意なのは熱帯魚点で売られているもの。注意深く観察して葉が溶けかかっているものは、草勢が弱くその後枯れてしまうものが多い。その他、溶けている葉が付いていなくても、茎が短いものは活着させることは難しい。しかし、入荷直後の浮き葉や水上葉が付いている株であれば、活着する可能性が高まる。上記姫コウホネは熱帯魚店で取り寄せで購入したものですが、浮き葉、水上葉の付いた地堀株だったため、問題無く活着した。自生地採取については、地域によっては保護されている事もあるので、十分ご注意下さい。また、水深のある場所の自生が多いので、危険が伴います。必ず自己責任で行って下さい。
  • 容器:水が貯まるものであれば何でも可。しかし、丈夫なものの方が良い。睡蓮鉢、厚手の発泡スチロール箱、水槽等。上のコウホネは果樹用大型鉢内側にビニールを入れて水漏れを防いでいる。尚、水深の深いところに自生しているからと、深さのある容器でなければ育たないと言うことはない。
  • 土:田土が良く育つ。元々丈夫な植物であるため、それほどこだわらない。一般的には荒木田土、赤玉土、粘質土全般。
  • 水:大体何でも問題無い。蒸散や蒸発して減ったら足せばよい。屋外ならば雨水も入るので都合が良い。
  • 定植時期:春から夏にかけて。
  • 肥料:与えなくても良く育つが、与えれば非常に良く育つ。多肥ではコウホネは大きくなりすぎるので、目的によって加減する。生育期間中に1~3回程度。市販の有機固形肥料、化成肥料等。上記株は発酵鶏糞を与えている。詳しくは「園長室」→「園長のガーデニング」→水生植物→花蓮の栽培2008年6月参照。尚、量は蓮より少なめ。
  • 増殖:実生、株分け。実生について詳しくは、コウホネの実生へ。
  • 害虫:ワラジムシ、ダンゴムシ、貝類等。花や葉の食害。見つけ次第駆除したい。
  • その他:ボウフラ退治にメダカを放しても良い。

入手株の定植1・・・自生採取、水生植物専門店等の地堀株の場合

(1)株の様子

(2)土を入れる

(3)株を置く

(4)土をかける

(5)水を入れる

(6)更に入れる

(7)完了

(8)固定

手順:(1)株の様子。(写真は紅コウホネの地堀株)浮き葉、水上葉、根が付いていて、根茎が長ければ活着する可能性が高い。

(2)容器に土を入れる。大体高さの1/4~1/3位。

この土は田土です。

(3)株を容器に入れ位置を決める。芽先方向にスペースがあるように置く。根がある場合は広げる。

(4)更に土を入れる。根が隠れるようにする。根茎が埋まってしまっても問題無い。

(5)水を静かに注ぎ入れる。

(6)株に水中葉や伸長中の葉が付いている場合は、それらの葉が完全に隠れるまで水を入れる。

(7)これ位入れれば大丈夫。浮き葉や水上葉は水上に出ていても問題無い。

(8)水を入れた後、株が水面に浮かんでしまった場合や根が少ない株の場合は、何らかの重りで固定する。写真では駄温鉢を置いている。この重りは最初の1~2ヶ月間、根が張るまで置いておく。その後取り出す。

今後の様子は、2009年8月1日以降に掲載。

入手株の定植2・・・熱帯魚店、水草レイアウト水槽向け水草ショップ等の地堀株 2012年5月3日~

(1)株の様子

(2)根茎の様子

(3)定植後

(4)浮き葉

(5)水中葉

解説:(1)品種は‘ナガバベニコウホネ’です。葉が細長く昆布のようです。熱帯魚通販店でよく見かけるものです。今まで何回(何年)も挑戦したものの1回も活着したことがありません。価格が安い割に活着させることが難しいものです。

(2)その理由は出荷元で根茎を短く切っていること、浮き葉、水上葉等が付いていないこと、根が少ないことが挙げられます。これは何らか意図としか思えません。この二株、特に右側は根茎が2cm程度しか付いていないため、活着したら奇跡の様なものです。

活着確率が非常に低い事が分かっていて何故今回購入したのかと言いますと、購入先にお願いして入荷後状態の良さそうな株を迅速に送ってもらうことが出来たからです。販売店で入荷後時間が経過すると葉が解けてきて草勢が弱まるためです。

(3)植えた容器は60cm水槽です。何故か・・・それは、そこにあったから・・・。さて、用土は田土を用意出来なかったため、他のコウホネが植わっていた用土を使い回したものです。それは田土ではなく鹿沼土等の粒状の土が混ざっていて陸上の植物が良く育ちそうな感じのものです。

(4)到着した株の第一印象は「水中葉しか付いてない・・・」と思っていたら浮き葉が付いていて、これなら何とかなるかもしれないと思わせた。

(5)ちなみに水中葉はご覧の通りです。

入手株の定植2のその後 2012年5月16日

(1)全体の様子

(2)新しい浮き葉

(3)浮き葉

(4)葉の腐敗

(5)葉の腐敗

解説:(1)状態の悪い株は植えて間もなく外葉(下葉)が溶けるように腐敗を始めます。(4)(5)がそうです。最初は葉の一部が溶けて、その後葉柄が腐り葉身が取れてしまう。これを繰り返し、徐々に葉数を減らして新芽しか残らない状態になったら、枯死は秒読みになる。

出荷元はこのすぐには枯れないけれど活着もしない事を分かっていてわざと根茎を短くして出荷しているとしか思えない。これが園芸店ならば不良品を売っているようなものです。

しかし、今回は水温が上昇してきてもそれほど腐敗が進んでいなくて、浮き葉が増えてきたので活着が期待される。(2)この浮き葉が緑色(3)に変われば安心感が増す。

入手株の定植2のその後 2012年6月1日

(1)全体の様子

(2)水中葉

(3)浮き葉

解説:水温の上昇で溶ける葉はほぼ溶け終えた印象です。よって、今、浮き葉の出ている数株は活着したと見て間違いないと見ていた。

今後は増し土と施肥になります。最初に植えた用土はなるべく腐敗を防ぐため肥料分を含まないものを少なめに入れたので、今後はよく肥えた田土でも入れようと考えています。

アオミドロは自然発生のものではなく、メダカの卵と一緒入ったものです。それで今は稚魚が泳ぎ回っています。これで、ボウフラよけにするつもりです。

入手株の定植2のその後 2012年6月15日

(1)全体の様子

(2)水中葉

(3)浮き葉

解説:(1)(2)1日以降、過繁茂したアオミドロは取り除いてあります。その他行ったことは、状態が落ち着いたことから増し土しました。

定植時十分な量の土を準備出来なかったため、後で入れました。各写真鹿沼土の粒が確認できます。

写真では分かりませんが、根もだいぶ伸びていて、重しの鉢を取り除いても良い所まで来ています。

浮き葉が完全な緑色になったので、肥料を与えたいところです。しかし、今までの失敗を踏まえて、念のためもう少し様子を見ることにしました。

水は透明で水槽側面にも苔等は発生していません。このことからそれほど養分は含まれていないと考えられます。

(3)写真上部中央辺りに黒く短い糸状に見えるものはメダカの稚魚です。卵を浮かべておいたのが孵ったものです。少なく見積もって数十尾います。

この水槽では水を入れた後、自然にミジンコが発生していたためそれらが良い餌になったようです。孵化後しばらく餌を与えなかったのですが、徐々に大きく育っていましたから。これで夏場のボウフラ対策は万全です。

その他、葉に穴が目立ってきたことから、居着いていたモノアラガイを網ですくって駆除しました。

この後、水温の上昇でそれまで健全だった浮き葉も溶けるように無くなり、匍匐茎だけになり、その後それも黒色に変色し全てが終わりました。やはり裸苗は活着しなかった。ナガバベニコウホネ不活着伝説は続く・・・

2009年8月1日

(1)コウホネ

(2)紅コウホネ

(3)姫コウホネ

(4)花後の様子

(5)定植苗のその後

解説:全ての株に先月肥料を与えています。(1)~(3)は大きな変化無し。(2)の水中で紅色に見えるのは水中葉で、よく目立つ。水槽内では茶色の葉を展開することが多い。

(4)は(3)の写真中央は花後の様子で実を付けている。開花後水没し鞘を膨らませていく。自然界ではこの後実った種子が花柄ごと倒れ、水中の地表で越冬し、その後発芽して増殖するが、この株では未確認。(5)は肥料が効いたことで大きな葉が水上に出てきている。今のところつぼみは見えていない。

    基本管理
  • 状態:生育期、開花期。上の株は写真撮影時には花を咲かせていないが、長い周期で咲かせている。株の成長と共に長く伸びは根茎は末端側から黒く腐る。
  • 水:蒸散や蒸発して減ったら足す。蚊の多発生地域では夏場はボウフラ対策を行った方が良い。
  • 肥料:先月1回化成肥料を与えた。手持ちに水稲用元肥があったのでそれを少量与えた。

2009年9月1日

(1)コウホネ

(2)紅コウホネ

(3)(2)の花

(4)姫コウホネ

(5)定植苗のその後

解説:(1)このコウホネは根が回っていることや肥料を控えめなことから、大きく育っていない。そのせいか花も咲いていない。

(2)(3)以前与えた肥料の効果か久しぶりに花を咲かせた。旺盛には育っていないが状態は良い。

(4)我が家で最も生育が良いのはこの姫コウホネ。肥料の効果もあって箱一杯葉を展開している。そして花も付けている。花後は結実しているものが多い。草体が小さいので扱いやすい。

(5)肥料の効果で大きな水上葉を増やしている。苗が小さかった影響か、日当たりが悪いのか花は見られない。

    基本管理
  • 状態:生育期、開花期。株の成長と共に長く伸びは根茎は末端側から黒く腐る。長く伸びた根茎から脇芽が伸びて生息範囲を広げていく。
  • 水:蒸散や蒸発して減ったら足す。蚊の多発生地域では夏場はボウフラ対策を行った方が良い。
  • 肥料:様子を見て与えるか控えるかを決める。大きくしたければ与えればよい。

2009年10月1日

(1)コウホネ

(2)紅コウホネ

(3)姫コウホネ

(4)定植苗のその後

解説:(1)(3)コウホネと姫コウホネは生気が無くなってきた。

(2)は一つ花を咲かせている。恐らくこれが今年最後の花であろう。

(4)この株にもつぼみが上がってきているが、開花まで至るかどうかと言ったところ。

    基本管理
  • 状態:生育末期、開花期。(そろそろ終わり。)
  • 水:蒸散や蒸発して減ったら足す。蚊の多発生地域では夏場はボウフラ対策を行った方が良い。
  • 肥料:与えない。

2009年11月1日

(1)コウホネ

(2)紅コウホネ

(3)姫コウホネ

(4)定植苗のその後

解説:(1)は一番早く葉が黄色になった。水中葉はまだ緑色。

(2)は先月中旬まで花を咲かせていたが今は終わっている。

(3)こちらは黄色い葉が多くなってきた。

(4)つぼみを水上まで伸ばしていたものの、開花には至らなかった。今年はこれで終わり。

    基本管理
  • 状態:生育休止期。
  • 水:蒸発して減ったら足す。これから冬期間も水は切らさない。
  • 肥料:与えない。

2010年1月1日

(1)防寒後

(2)内部の様子

解説:(1)(2)写真は無加温ハウス内で、冷え込みが厳しくなってきたので容器を一カ所へ集めて上から断熱シートを掛けたところです。水面は1~2㎝くらい凍っている。

昨年はこれで無事越冬している。不十分な対策で-8℃以下の冷え込みが続くと容器の水は完全に凍結する。小さな水槽ではガラスが薄いので割れやすい。よって、水槽は出来れば保護した方が良い。

    基本管理
  • 状態:生育休止期。
  • 水:切らさないようにする。
  • 肥料:与えない。

2010年3月1日

(1)コウホネ

(2)紅コウホネ

(3)姫コウホネ

(4)(3)の新芽

解説:厳しい冷え込みが峠を越えたことから断熱シートは取り除きました。屋外は今月一杯氷点下の冷え込みが続きますが、水中では春が訪れています。

(4)早い株はすでに新芽が動き始めている。日が延びたことを感じているのか、水温が上がったことを感じているのか・・・。

    基本管理
  • 状態:生育休止期から徐々に生育開始になる。
  • 置き場:そろそろ日当たりの良い場所へ置く。
  • 水:切らさないようにする。
  • 肥料:与えない。

2010年4月1日

(1)コウホネ

(2)紅コウホネ

(3)姫コウホネ

(4)定植苗

解説:各株共に新しい葉を展開し始めた。この時期に出す葉は各種共に茶褐色をしている。

冬の間水が凍結し根茎を覆っていたが、水温の上昇ですぐに生育を始める様子を見ていると、生命力の強さを感じる。

    基本管理
  • 状態:生育期。
  • 置き場:日当たりの良い場所。
  • 水:切らさないようにする。
  • 肥料:与えない。

©2003-2024 Strelitzia Botanical Garden